• 1 / 62 ページ

チェンジ‐01



ちくしょう!。
なんだってんだ!。

俺の事をバカにしやがって!。

今に見てやがれ!。
ほえづらかかせてやるからな!。


…って。
分かってる。
分かってたんだ。


俺に才能がない事なんて…。
しかし、俺は音楽でメシを食って行きたい!。

田舎でバンドをやって、地元では相当人気があった。
そして、故郷に『錦』を飾る為に東京へやって来たよ。




だが…現実は…。




俺は『井の中の蛙』だった。
思い知らされた。


しかし、諦める訳には行かない!。


絶対にドームを超満員にさせる程のミュージシャンになって、俺をコケにした関係者どもを、床にはいつくばらせてやるからなっ!。

自分の作った曲を片っ端からレコード会社に売り込んだ!。


けんもほろろに突き返される始末。

バンドメンバー募集のオーディションもすべてダメ…。


このまま俺は、バイトに明け暮れるだけで、何も残さない人生を送るのか!?。

絶対に嫌だ!。


しかし


だんだん心が折れて来た。










バイトが終わり、いつもと違う道を歩いて帰った。





ちょっと薄暗い路地を入っていった…。
なにかに誘われるように……。


路地の一番奥のあたりから、フンワリと灯る明かりが見えた。

「なんだ?」


俺は誘われるように、そこを目差した。


「なんだ…喫茶店か?」


客が誰もいない…。


カウンターにマスターらしき男がいるだけだった。


俺は知らないうちに『Paranoia Cafe』の中に入って行った。

更新日:2010-01-20 00:04:47

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook