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1章 こんにちは。私の名前は......

 こんにちは。
 私の名前はタケコプターといいます。
 ドラえもんのポケットから出て来るあれと同じです。
 本当は別の名前もあるのですが、今はタケコプターと呼ばれるのが割合に気に入っているし、そう呼んでもらうのがいいような気がしています。
 私の話は、ある日突然、知らない人から風変わりな手紙を受け取ったことから始めたいと思います。
 今年の七月二十一日のことです。
 とはいっても、いきなりその手紙の話をするのもなんですので、ちょっとばかり、自分のこととか、自分のまわりのこととかをお話ししたいと思います。

 私の職業はドラ焼きづくりでした。
 あの頃までの私は、来る日も来る日もドラ焼きを作っていました。今日もまた、ついさっきまでドラ焼きを作っていましたので、今の職業もドラ焼き作りなのですが、あの頃のドラ焼きと今のドラ焼きでは、どこか少し違うような気がしてしまっています。
 もしかしたら、少しどころではないのかもしれません。
 「ドラ焼き」が「どら焼き」になったとか、そういうくだらないタイプのことなのかもしれませんが、何が違うかさえわからないので、ひとまず今は「でした」と言わせて下さい。
 私の作るドラ焼きは、たくさん作ってお店に並べて置けば、黙っていても売れるというものではありませんでした。だから、お店もこの通り、それと知らなければ通り過ぎてしまう程度のものでした。
 看板がまだ出来ていないというのも、店らしくない理由のひとつでしたが、製作を依頼したドラえもんが難癖をつけて、いつになっても作ってくれないのでした。

更新日:2008-12-11 10:51:39

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