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三日月 死神 少女 (その他)

真っ暗な闇の中。
三日月だけがぼんやりと光を放つ。

踏切の遮断機がけたたましく鳴り響く中、人影がそこに飛び込むのに気付いた。
しかし私が駆け寄った時には既に手遅れで、一人の老女が倒れていた。
…否、老女と言うと少し語弊があるかもしれない。
それはもう、ただの血塗れの肉の塊でしかなかった。

呆然とその肉塊を見詰めていたのだけれど、私はふと人の気配を感じた。
振り向くと、そこには美しい一人の少女が立っていた。
少女は次の瞬間、大きな翼を広げた。
暗闇の中、その翼の色までは分からなかったけれど。

「…天使?」

私がそう呟くと、少女は可笑しそうにクスクス笑った。

「…お前、私の事が見えるのか?」
そう言うと少女は、胸元にかけられたネックレスをぎゅっと握りしめた。
その瞬間、そのネックレスは大きな鎌に形を変えた。

「…天使なんかじゃない。死神、だよ?」
少女は少し寂しそうに笑うと、老女の首元と思われる辺りを目掛けてそれを振り上げた。
私が唖然としている間に、老女の肉体からうっすらと光る球体が飛び出した。

少女はそれをそっと捕まえると、持っていたリュックの中に収めた。
それからその少女はふわりと舞い上がり、闇の中に消えていった。




                                       …FIN

更新日:2009-12-18 00:00:40

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