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ぼくの決断

ぼくは今までの17年間、当たり前のように生きてきた。
そりゃあ、難関と言われる今の高校に入るためには必死で勉強したし、いろんな局面でそこそこがんばってきたつもりだ。
それなりに努力もした。
がんばったらがんばったなりに、結果もついてきたし、人生ってそういうものだと思っていた。

だけど、一生懸命努力しても、
いや、精一杯がんばってしまう人だからこそ、報われないまま燃え尽きてしまう、
そんな人達が沢山いるという事実が、今さらながら、胸に迫ってきた。

これが現実なんだと、冷めた目で、さもわかったように振る舞うことは簡単だ。
そういう風に割り切るほうが、ずっと楽だろう。
でも、ぼくには、割り切れなかった。

どうしてなのか、よくわからない。
ただ、さっき観たテレビ番組の中で、父親に自殺された息子さんが、必死にこらえながら、「いつか父親を許せる日が来るように、前を向いて生きていきたい」と言っていたシーンが、頭に焼きついていた。
ぼくと同じくらいの年だったんじゃないかな・・・

そして、顔もはっきり思い出せないけれど、あの、俊足のアイツの声が聞こえたような気がした。
「あ~あ、もう走れないのかなあ・・・あ~あ、参ったなあ」

自分がこんなタイプの人間だとは、ちっとも思っていなかった。
けれど、いま目の前には、確かに、祖父の日記と対峙する自分がいた。





更新日:2009-12-05 14:08:36

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