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初粛正〜中編
カチャカチャ
ちょっと甲高い音を奏でながら丁寧に小皿にのせらている白を基調としてエメラルドグリーンの模様があしらわれているカップが湯気を出しながらテーブルの上に出される
『……粗茶ですが……どうぞ…』
そういって向かいの椅子に静かに座る貞子
『有り難うございます。んん〜いい香りだ。アールグレイですね』
カップを顔の前で回し匂いを楽しんでいる周防
『ありがとう〜☆』
アールグレイには目もくれずテーブルの上のお菓子をバクバク頬張る凛さん
『ど、どうもありがとうございます…』
そして、二人とは対照的にきょろきょろと周りを見て落ち着かない川村
『お前少しは落ち着け』
『落ち着ける分けないでしょう!なんで家の外あんなにボロボロなのに中がこんなにゴージャスなんですか!?』
そう、今川村達がいるのは約50帖あろうかという部屋
しかも、家具などは素人が見ても分かるほどの高級品
あれ?ここ城?
と思ってしまうほどのものばかり
さらに驚いた事は貞子曰く、ここはリビングではなくただの客室だということ
『しかも外から見た大きさと中の比率が合わないでしょう!!』
『そこはちびまる子ちゃんの家と一緒だと考えろ!あの家だってリビングの広さ半端じゃねーんだぞ!!いちいち細かいんだよ!お前の存在を小説から消してうまい具合にいなかったように見せかけるぞ!!』
えええぇぇぇ……
むちゃくちゃだぁぁ〜……
しかも後半は作者の気持ちまで入ってるじゃないかぁ……
観念したのか黙る川村
『さて、静かになったことですし本題に入ります。虐められている要因や今までされたことなどは事前に手紙にて確認しておりますがそれが事実である証明はありますか?あれば見せて頂きたい』
周防の顔はさっきまでと違い真剣そのもの
凛さんも食べるのをやめて隣でノートに記録を取っている
川村も自然と真面目な眼差しで貞子を見る
『…………わかりました…』
貞子はそう言うとすくっと立ち上がりワンピースを脱ぎ始めた
『ちょ!何やって』
『し!川村くん黙って』
川村を見る事無く貞子を見ながら真剣な声で川村の声を遮った
いや、黙ってってどういう
っと言おうと凛さんを見ると
凛さんの苦しそうで泣きそうな顔がそこにはあった
?
川村もその視線の先にいる貞子にそっと目を向ける
そして
……言葉を失った
なんだよこれ
川村は自分の中で何ともいえない感情が腹の中でボコボコと音を立てて湧いてくる
そこには
なにかを投げられてついた傷
縛られたような傷
画鋲のようなもので刺したような傷
殴られてできたような傷
カッターで切られたような傷
が先程から見えていた白い肌とは違い、赤黒く変色し背中、腹、太ももと体中に刻まれていた
中にはまだ血が滲んでいるものまである
こんなことが学校で普通に行われているのか?
やってるヤツはどんな顔をしながらこれをやったんだ?
自分の虐めに対する気持ちがなんて浅はかなものだったのだろうと飽きれてしまうほど川村はショックを受けた
『…くっ………もういいだろ……服着させてやれよ…』
目を伏せ声を殺しながら周防に言う
『あぁそうだな。もういいですよ。確認も済みましたので話しを薦めさせて頂きます。それではまず粛正の方法ですが ……… 』
『…』
『……』
一体あのあとなんの話をしたのだろう
どうやって貞子の家を出たのだろう
自分の意識はそこでぷっつりと切れていて、フッと気づいたときには夕暮れのオレンジの光に照らされた旧校舎の音楽室にいた
イジメってなんだよ…
あんなにヒドい事してやってるヤツらはなんにも思わねーのかよ……
何度も何度も同じ事を心の中で繰り返す
『クソッ!!』
顔をあげて天井を見上げるが瞳から流れ出てくるモノを止められない
この感情は止められない
しかもアイツはなんであんな顔が出来るんだよ……
そう、さっきからずっと目をつむると自然に思い浮かぶのは
川村が今まで見たどの笑顔よりも澄んでいた
『さようなら』
と言った時の貞子の笑みだった
ちょっと甲高い音を奏でながら丁寧に小皿にのせらている白を基調としてエメラルドグリーンの模様があしらわれているカップが湯気を出しながらテーブルの上に出される
『……粗茶ですが……どうぞ…』
そういって向かいの椅子に静かに座る貞子
『有り難うございます。んん〜いい香りだ。アールグレイですね』
カップを顔の前で回し匂いを楽しんでいる周防
『ありがとう〜☆』
アールグレイには目もくれずテーブルの上のお菓子をバクバク頬張る凛さん
『ど、どうもありがとうございます…』
そして、二人とは対照的にきょろきょろと周りを見て落ち着かない川村
『お前少しは落ち着け』
『落ち着ける分けないでしょう!なんで家の外あんなにボロボロなのに中がこんなにゴージャスなんですか!?』
そう、今川村達がいるのは約50帖あろうかという部屋
しかも、家具などは素人が見ても分かるほどの高級品
あれ?ここ城?
と思ってしまうほどのものばかり
さらに驚いた事は貞子曰く、ここはリビングではなくただの客室だということ
『しかも外から見た大きさと中の比率が合わないでしょう!!』
『そこはちびまる子ちゃんの家と一緒だと考えろ!あの家だってリビングの広さ半端じゃねーんだぞ!!いちいち細かいんだよ!お前の存在を小説から消してうまい具合にいなかったように見せかけるぞ!!』
えええぇぇぇ……
むちゃくちゃだぁぁ〜……
しかも後半は作者の気持ちまで入ってるじゃないかぁ……
観念したのか黙る川村
『さて、静かになったことですし本題に入ります。虐められている要因や今までされたことなどは事前に手紙にて確認しておりますがそれが事実である証明はありますか?あれば見せて頂きたい』
周防の顔はさっきまでと違い真剣そのもの
凛さんも食べるのをやめて隣でノートに記録を取っている
川村も自然と真面目な眼差しで貞子を見る
『…………わかりました…』
貞子はそう言うとすくっと立ち上がりワンピースを脱ぎ始めた
『ちょ!何やって』
『し!川村くん黙って』
川村を見る事無く貞子を見ながら真剣な声で川村の声を遮った
いや、黙ってってどういう
っと言おうと凛さんを見ると
凛さんの苦しそうで泣きそうな顔がそこにはあった
?
川村もその視線の先にいる貞子にそっと目を向ける
そして
……言葉を失った
なんだよこれ
川村は自分の中で何ともいえない感情が腹の中でボコボコと音を立てて湧いてくる
そこには
なにかを投げられてついた傷
縛られたような傷
画鋲のようなもので刺したような傷
殴られてできたような傷
カッターで切られたような傷
が先程から見えていた白い肌とは違い、赤黒く変色し背中、腹、太ももと体中に刻まれていた
中にはまだ血が滲んでいるものまである
こんなことが学校で普通に行われているのか?
やってるヤツはどんな顔をしながらこれをやったんだ?
自分の虐めに対する気持ちがなんて浅はかなものだったのだろうと飽きれてしまうほど川村はショックを受けた
『…くっ………もういいだろ……服着させてやれよ…』
目を伏せ声を殺しながら周防に言う
『あぁそうだな。もういいですよ。確認も済みましたので話しを薦めさせて頂きます。それではまず粛正の方法ですが ……… 』
『…』
『……』
一体あのあとなんの話をしたのだろう
どうやって貞子の家を出たのだろう
自分の意識はそこでぷっつりと切れていて、フッと気づいたときには夕暮れのオレンジの光に照らされた旧校舎の音楽室にいた
イジメってなんだよ…
あんなにヒドい事してやってるヤツらはなんにも思わねーのかよ……
何度も何度も同じ事を心の中で繰り返す
『クソッ!!』
顔をあげて天井を見上げるが瞳から流れ出てくるモノを止められない
この感情は止められない
しかもアイツはなんであんな顔が出来るんだよ……
そう、さっきからずっと目をつむると自然に思い浮かぶのは
川村が今まで見たどの笑顔よりも澄んでいた
『さようなら』
と言った時の貞子の笑みだった
更新日:2009-12-01 11:21:18