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小説

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首都エマトリアーヌ

 かつての旧世界、フランスと呼ばれた国の北部に“花の都”と呼ばれた都市がありました。それは全ヨーロッパのあらゆる都市の中で、最も有名で、最も気高く、最も誇りある都市と言われていました。
 しかし、その“花の都”は今はもう存在していません。あの悪夢のような時空爆流と共に、その数えきれない文化遺産や伝説と共に、海底へと沈んでしまったのです。
 そして現在、その“花の都”の伝説に代わる都市がこの地に出現しました。その名はエマトリアーヌ。人類がその英知で見事に復活させた“華(はな)の都”です。
 この街の中心部の姿を言葉で説明するのは難しいかも知れません。しかしながら抽象的に表現するのなら簡単です。“四次元的立体都市”――この国の人々はそう呼んで自慢するからです。
 あえて具体的に表現すると、上から押しつぶした形のジャングルジム=“ポリスコア”の中に、丸ごと中心街が入っていると考えればわかりやすいでしょうか。
 ジャングルジムと言っても、当然あの遊具のようなちっぽけなものではありません。一本のパイプの太さは大きなもので直径数メートル、長さは百メートルを超えるものもある、頑丈で巨大なジャングルジムです。
 その形は空から眺めると、北西のセーヌ湾に面した弦のみが欠落した正六角形で、一辺の長さは約三キロ。高さは、最高で地上三百六十メートルにも達し、横から見るとちょうど二段ケーキのような形をしています。
 そしてその内部には所々平たい地面がはさまっていて、そこに道路や鉄道、ビル、公園、集合住宅、商店などがギッシリと詰まっているのです。
 まず最上層“セクシオンS”を紹介すると、体積は下の段とは比べ物にならないほど小さいのですが、天を指差して微動だにしないインディペンデントタワーを中心にしたその円柱の上と中に、ほとんどの省庁と共和国議事堂、そして大統領の宮殿がある一番重要な部分です。
 下に日陰を作らぬように配慮したため、この部分の高さは下の層と最高で十メートルぐらいの違いしかありません。

更新日:2009-09-28 22:01:27

超時空物語RAIN 第一部 わたしの仲間たち