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小説

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時空物質

 でも、ふと冷静になって考えると、わたしは段々腹が立ってきました。そもそもわたしをこんな目に遭わせた張本人は、この無茶でむこう見ずで自己中心的で、おまけに朴念仁のジャッキーなのです。
 一言文句を言ってやろうと、わたしは横に突っ立っている彼を見上げました。
「ちょっと! 何考えてるのあなた――」
 と、そこまで言いかけて、わたしは中断しました。ジャッキーの頭から、かなりの血が流れているのに気がついたからです。
「あ、あなた大怪我してるじゃない!」
 わたしがびっくりしてそう言うと、ジャッキーはおもむろに自分の頭に手を伸ばしました。その手にベッタリと血が付きます。
 なのに、いえ、多分そうだろうとは思ってはいましたが、彼は自分の血を見てもまるで表情を変えません。挙句の果てには、血の付いたその手を自分のズボンで拭って平気な顔をしているのです。出血は治まる様子もなく、ドクドクと流れ続けています。
「…わたしの手錠を解いて。」
 わたしはいてもたってもいられなくなってそう言いました。ジャッキーはわたしをジロリと見ました。
「手錠を解いて。手当てしてあげるから。」
 もう一度繰り返しました。散々な目に遭わされたわたしでしたが、大切な人質だったからとはいえ、彼に助けられたことは事実ですし、このまま失血して弱っていくのをあざ笑って見ているほど、わたしは冷たい人間ではありません。
 でも彼は黙ったままで、それに応じる気配はありません。
「心配しなくても逃げたりしないわ。それよりあなた、そのままじゃ貧血起こして倒れてしまうわ。そうなったら、大切な任務が続けられないんじゃないの?」
 わたしは更に強い調子で言いました。しかしそれでもジャッキーはじっとしたままです。そうやって無視し続けるのなら勝手にすればいいとも思いましたが、間もなく彼の右膝がガクリと地面に崩れたのを見て、やはりそうも言っていられませんでした。

更新日:2009-09-28 04:29:43

超時空物語RAIN 第一部 わたしの仲間たち