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小説

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時空鉱山

 列車から切り離された制御車が停止した場所は、少し小高くなった丘の近くでした。辺りは真っ暗で、ゴツゴツとした大きな岩がそこら一面に転がっています。
 わたしを拉致した男の人はすぐに制御車を降りると、手錠をかけたままのわたしを連れて、足早に線路から離れ始めました。
 彼がわたしの腕を強く引っ張るせいで、手錠が手首に食い込み、痛くて仕方ありません。わたしは何度も「痛い」とか「放して」と訴えましたが、彼は一度も口を開くことなく、どんどん進んでいきます。
『どうしてこんなことになっちゃったんだろう? これからわたしはどうなっちゃうんだろう?』
 わたしの頭の中では、その二つの想いばかりが駆け巡っていました。わたしはまだこの時、わたしが生まれた時から課せられていた運命の歯車が、静かに動き始めたことに気がついていなかったのです。ですから、もう少し我慢すれば、きっと誰かがわたしを助けに来てくれるのではないかと期待していたのでした。
 どのくらい歩いたのか見当はつきませんが、男はけっこう早い時期に、線路からそう遠く離れてはいない丘のそばで鉱山を見つけて、そこの林にわたしを連行しました。鉱山は、もうとっくの昔に廃鉱になってしまっているようで、引込線の線路やトラックが通る道などは草ぼうぼうです。
 そんな林の中をしばらく進むと、前方の崖にポッカリと空いた大きなトンネルが見えてきました。
 木製の柱が幾重にも重ねられて、一応封印されてはいましたが、それらはすでに腐ったり壊れたりしていて、ほとんど役目を果たしていません。横には“ロゼ第十八時空鉱山”と書かれた錆びた看板が貼り付られていますが、中も当然真っ暗で、ジメジメとしたカビの臭いが漂ってきます。
 男は無言のまま、不気味なそのトンネルの中へわたしを連れ込んだのでした。

更新日:2009-09-28 03:26:36

超時空物語RAIN 第一部 わたしの仲間たち