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「どうぞ。どこへ行ってたの」 と正雄。

「三人でかき氷を食べに行ったんです。僕は二杯で充分だったんですけど、女の子二人は、まだ食べているんです。すごい胃袋ですね。ところで今夜の、キリスト教の集会はどうでした」

 幸子は台所でもう一つのコーヒーを作りながら答えた。

「私ね、今夜の集会で、いろんな事を考えちゃったの。それでマサさんに話を聞いてもらったり、アドバイスをもらったりしていたんです」

 「へー、宗教の集会で何かを考えるなんて、サッチャンは偉いね。普通は、そこで教えられた内容を、守るように努力するんでしょ。
僕は社会に宗教は必要だと思っています。人間を道徳的にするし、社会秩序を保つのに役立ちますから。ただ、僕には必要ないと思ってます。自分の行動すべき事を、自分でちゃんと考えて、それで結論を出せれば良いわけですから」

 正雄の口元が少し開きかけたが、何も言わなかった。幸子は、かき氷に話題を変えた。この夜、幸子は水浴びを終えても自分の部屋には入らずに、帰ってきたジアップとチャンチマを加え、五人で夜遅くまで、話に花を咲かせていた。

更新日:2011-08-06 17:20:47

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