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小説

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ランの世界へ

報告書の最後の行に彼はサインをすると、両手を上に伸ばし椅子の背もたれに体重をかけ、さらに体を伸ばしながら大きく息を吸い込んだ。やがてゆっくりと息を吐きながら元の姿勢に戻って見ると、幸子とランとスワイが正雄の姿を見ながら笑っていた。正雄は席を立ち三人のいる机へ歩きながら言った。

「そんなに伸びをするのがおかしかった?」

一番大きな声で笑っていた幸子が答えた。

「そうじゃないんですよ。ちょうどマサさんの噂を私たちがしていたら、大きなあくびをするから、それでおかしかったんです」

「なに?どんな噂してたの」

「昨日スワイさんの子供が、ここに遊びに来たでしょ。覚えてますか。 あのアイちゃんが、スワイさんにマサさんの事で質問したんですって」

「私の娘が、時々ここに来てるの知ってますか。子供はちゃんといろんな物を見ているんですね。マサがいつも同じ服を着ているから、あの子は不思議に思ったみたいなんですよ。どうしてマサは服を一つしか持ってないの、難民より貧乏なのって私に聞くんです」

「それで,私がサッチャンに質問したの。マサはバンコクで国連の会議がある時も、色のあせたいつもの服を着て行くのかって」 ランが笑いをこらえながら言った。

更新日:2008-12-05 22:31:53