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「私がサッチャンで、蓮根さんはコボチャン。なんかそれっっぽいでしょ」

「正雄さん、いやマサさんでいいですか。そんなに疲れましたか。エアコンバスで冷房が効きすぎたんですか」

「それが、エアコン付きのバスに乗り遅れちゃってね。普通のバスに乗ったんだよ。あれはほんと疲れるわ」

「そうですか。それでこんなに遅く着いたんですね」

「どうもここまでのルートも、ちょっと遠回りしてる感じでさ。けっこう国境に近い道を走っていたみたいで。だから途中で検問なんかもあって、ちょっと恐かったと言うか、面白かったね」

「え、そんなの私たち知らないですよ。ジアップはどう」

「そうね、私は通った事はないけれど、そんな所もあるらしいわよ」

「サイトシックスに行く途中には、検問所がありますよ」蓮根がお茶を飲みながら言った。

「サイトシックスて、なにそれ」

「僕たちがアランに来た時は無かったんですけど、つい先週、新しくできたキャンプです。連絡入ってないんですか? マサさんが知らないなんておかしいな。サイトシックスができてから、作る食事の量を二倍にして、僕が毎朝、運んでるんでます。会計係なのに、すっかり運転手をやってますよ」

「そうか。連絡ミスもいいとこだよね。なんか俺は何も知らないままで責任者になるわけか。まあ、ほんと、仕事の話は明日からにしよう」

「あのー・・・、マサさん、私、検問所なんて聞いた事、無いですけど、どんな感じだったんですか?」

更新日:2011-08-06 11:02:09

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