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小説

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Ⅱ 隻眼の兎とサーベル猫

「ほおっ、〈クリスタル〉をもっているのか──」
「〈クリスタル〉? 何それ?」
 〈兎〉のギルが立ち上がって僕に近づいてきた。沙羅は僕の手をつかんで、
(宗司、なっ、なんか怖いよ……)
 と耳打ちした。兎は僕の前に立つと胸に軽く手をあてた。僕の心臓は、ドキドキしている。兎が手を放した。するとどうだろう、兎の手に水晶のような光り輝くものがでてきた。
(良質だな。うむ、大事にするがよいぞ)
 といって、また僕の胸に手をあて、〈クリスタル〉を元に戻した。
 店内は大勢の客がいて僕たちに注目している。ぼくはとっさに、
「こっ、これ、うちのパパの会社のロボットなんです。パパの会社は〈ホンダ〉です。パパに宣伝してこいっていわれて──」
 なんでこんな言葉がでたんだろう。未だに不思議だ。僕は店の外に出ようと兎の手をとった。客たちは、
(なーんだ、〈ホンダ〉の宣伝か、こった演出だなあ……)
 と感心している。その客たちの中に、カウンターのところで注文の順番を待つサングラスをかけた銀髪の男がいあた。そいつが携帯を取り出して、
「みつけた……」
 という声が聞こえた。男も店を出た。(ほんとにやばい)。僕たちは、おじいさんの別荘に逃げみ、すぐに門扉を閉じた。さらに警備会社の人に携帯電話で連絡して、外の奴にきこえるように話しをした。
「あっ、〈セコム〉のおじさん? 宗司だよ、門のところにへんな人がいるの、助けて!」
 別荘の外側にはサングラスの男がいて、そいつも携帯で話しをしている。
「標的は、〈隻眼の兎〉と〈サーベル猫〉。別荘に逃げ込んだ」
「了解です隊長、これより〈月の王様作戦〉開始します──)
 別荘は屋敷の三方を塀で囲んであり榛名湖の側だけがあいていて砂浜になっている。榛名湖のほうから声がした。

更新日:2009-06-28 14:40:45