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小説

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Ⅵ 終章 スーパー・クリスタル

 ──私は銀河帝国選挙侯エンキドウ。〈月の王〉ネルガル派の軍団はわれらの四倍、圧倒的に不利な状況だ。私と盟友ギルガメッシュは、死中に活をみいだすべく敵中突破をはかった。/『選帝侯エンキドウ回顧録』より

 銀河帝国における軍団は統合軍の形態をとっているため、一個軍団は一個艦隊と同義である。火星の衛星フォボスほどの大きさである鉄鍋のような形をした超弩級戦艦が旗艦で、これを半分にした大きさの弩級戦艦、さらに一回り小さくした巡洋戦艦、航空母艦、駆逐艦、小型艇となり、このほか揚陸艦や補給艦・輸送船が続き、銀河系の渦のような布陣となっている。それが敵側四個、味方側一個存在し、月と地球の間でいまにも激突しようとしているのだった。
 ネルガル派四個軍団艦隊は、主力にして近衛軍団艦隊である第一軍団艦隊を中心に、前衛に第二軍団艦隊、左翼に第三軍団艦隊、右翼に第四軍団艦隊が布陣した。ギルガメッシュ派第五軍団艦隊は、このうちもっとも月側に寄った敵右翼第三軍団艦隊を食い破って、後方に抜ける策をとった。
 ──斉射!
 全戦闘艦が砲門を開けた。閃光とともに、双方に多数の艦船が被弾した。次に、大鼠(ねずみ)のような形をした小型艇にまたがったライオンほどの大きさをした〈騎士猫〉多数が現れ、手にした大鉞(まさかり)を、ぶるんぶるん、と振り回して敵艦の分厚い装甲を破って内部へ突入していく。
 その戦いの最中、サングラス猫を肩に乗せた巨神ダイダラムは、月面に開いたクレーターの一つに降りていった。その後を、環状に手をつないだ白兎の群れ〈月の王〉ネルガルが続く。ネルガルが叫んだ。
「開け、〈ウトナピシュティムの扉〉よ。〈鍵〉はもってきた。わが祖先、銀河帝国始皇帝ウトナピシュティムよ。〈スーパー・クリスタル〉をわが手に──」
 巨神ダイダラムは両脚を失い、手にしている棒状の武器メイスも半分になっている。そのダイダラムのメイスがクレーターの底に突き刺さった。途端、クレーターの底が開いて、中へ吸い込まれていく……。

更新日:2009-06-28 14:43:45