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*** Chapter 16 特別機動部隊 ***

 生命識別感応装置が地上に人気がないことを示した。
「よし。攻撃開始」
 特別機動部隊の隊長、クオディ・ネネットは無線話器に怒鳴りつけるような大声で全機に命令した。
 保安部機動部隊、二十機の飛翔機が思い思いに旋回し、甲高い機関音を響かせながら地上に急降下した。
 前面に備え付けられた高密度光束砲が超振動波の光束を一斉に打ち始めた。
 白く輝く光線が何十本も放たれ、辺りは昼のように明るくなった。
 圧縮され解き放たれた光の波動が空気を振動させ、乾いた残響音が空中を交錯した。
 光子波動は獣たちを次々に射抜いていったが、獣たちは咆吼するだけで倒れなかった。
 それでも、攻撃の手は緩めなかった。
「撃て。撃て。撃って、撃って、撃ちまくれ」
 クオディは飛翔機を安全圏から地上すれすれまで急降下させ、光束砲を撃ちまくっては急上昇した。連続して発射された光線は獣たちを至近距離から次々と射抜いていった。
 何本もの光子波動が一体に集中すると、黒い大きな体は共鳴を起こし、超振動で歪み、苦し紛れの大音響の咆吼を残して、やっと霧散した。
 それを見た他の飛翔機も次々に低空飛行に移り、獣たちを攻撃した。
 数機で一体を猛烈に攻撃して、やっと消し去ることができた。
「これじゃ、効率が悪すぎる。応援を頼め。あるだけ全部来いと伝えろ」
「了解です」
 クオディは苛(いら)つきをどうすることもできなかった。
 狭い機内に本部と交信するニスオクの声と話器から漏れる本部とのやり取りが暫く続いた。

更新日:2008-12-05 02:38:34

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