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「~ファースト」考

リーダーが使う「~ファースト」という言葉が訝しい。

ドナルド・トランプは
自国第一主義という意味でアメリカファーストと演説して
第45代米大統領に就任したのは記憶に新しいが、
それに倣って
小池百合子が立ち上げた
「都民ファースト」なる会派も、
いないはずの柳の下の泥鰌を狙ったものだろう。


「~ファースト」という言葉の中には
自分たちだけが一番になればよくて


--- 他はどうでもよい、あるいは、

他がどうであろうと気にしない ---


という意味合いが込められているのは容易に理解できる。


企業家出身のトランプ氏にとっては
民間企業なら他の会社のことなど考えられなくて
資本主義社会の競争原理に従って
とにかく自社を最優先にと考えるのは納得はできるものの

昨今ではESG投資に関心が向くように
公共福祉などの社会貢献や環境問題への積極的な取り組みで
持続可能な世の中全体と協調しようとする姿勢が
会社として評価される世の中に進化している。


そんな中、
特に1国のリーダーが
それも世界トップの先進国のリーダーたる者が
自分たちだけが一番になればよいという姿勢は
品位に欠けるし、あまりにも浅ましくないだろうか。


もっと倫理性や協調性をもち寛容な姿勢で
自国だけではなく世界全体の平和と繁栄に目を向ける
リーダーたる威厳を示せないものか。
世界から一目置かれるような指導者にはなれないものか。


それに対して
ドイツやフランスを含めたヨーロッパは先進的だ。

イギリスはブレグジットでもめていて
イタリアはEUに背を向けそうな雰囲気だが
内向きな姿勢に傾きがちな世相の中で
いろいろな意見の相違はあれ、
とにかく全体を見ながら物事を決めようという
連合体になんとか繋ぎとめようという努力が見うけられるのとは対照的だ。


日本はどうか?
国益第一と安倍首相は訴えるが
自由と民主主義、高い人権意識を掲げて
協力・協調・寛容を示す国として
世界の中で役割を探ってほしいものだ。


今の世の中をみると
世界一位の経済大国アメリカがそんな感じで
世界二位の中国が20世紀型の覇権主義をふりかざし
世界三位の日本がとるべき立ち位置はなんなのか。


中国は別として
自由と民主主義が当たり前の現代において
世界はリーダーの品格や礼節によってその国の民度を推し量る。


世界の目は日本の態度に注目しているに違いない。

更新日:2018-10-03 11:40:36

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