• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 3 / 7 ページ

手を振る人々

新型インフルエンザの話題はさておき、総選挙近しとの憶測が流れて黄金週間を迎えようとしている。私は選挙という「祭典」が昔から大嫌いである。先日当地で行われた市議選の様子が脳裏に浮かぶのである。

選挙週間になると、町全体は一部の人たちによるうわずったような熱狂と異様な光景が至る所に出現する。選挙は候補者の掲げる政策の正しさを唱え、人口に膾炙する度合いを競うレースのようなものだから、民主主義社会に於いてはこの光景が巷に溢れるのも無理ないかもしれない。

街角で見かけたある光景は、信号が赤から青に変わるやいなや、候補者の名前が大きく掲げられた宣伝カーから、まるでスポーツ応援のような嬌声が聞こえ、暫くして信号が赤に変わるとその声は一端止んだかと思えば今度は車窓からいきなりニョキっと3体の応援要員が立ち上がり身を乗り出して、警官が止まれと合図するような仕草をしながら笑顔で手を振っている。

選挙期間中は叫んでいる側と聞かされる側とは表面的には明確な区別があるが、実際のところ嬌声を上げている応援要員の多くと私たち市民の心中の温度差は意外と小さいのではないかと思ったりするのである。

いくら熱狂的だとはいえ、大声で立候補者の名前を連呼することも、公道の真ん中で車から身をのりだして笑顔で手をふっていることも、動員させられている人たちの心中にある一種の気持ち悪さの意識を私は想像するのである。

その気持ち悪さは宣伝される側の私たち市民が持つ気持ちと同じ種類のもので、ある意味健全な精神によるところのものであろうと、私は推察するのである。



2009年

更新日:2016-12-15 15:34:04