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 そのとき、正面を向いている足挫婆さんの顔の、両眼だけが突然上を向いた。

“ ん・・・・・・・?”

顔はキチンと正面を向いているのだ。
 これは俗に言う、

“ 三白眼・・・・・?”

って、両眼が揃って、上四分の一が黒で、下四分の三が白で、

“ あの・・・、結構不気味なんです・け・ど・・・・。”

って、見様によっては気絶状態の顔にも見える。

“ まァ~た、何か企んでいるの・か・な・・・・?”

しかし、眼が変なだけで、動き自体は先程と変わらないような気もする。

“ しかし、だな・・・・・・。”

当然、俺は同じ手に引っ掛かるほどのバカじゃない。

“ もう、その手には乗らない!”

俺は次の行動を予測した。

“ 次は、指差しだろ。
さあ、どっからでも掛かって来いよ!”

と思っていると、案の定、右手のグ~が窓の下から現れて、徐々に上がって行く。

“ 来た、来た、来た、来た・・・・。”

そして、俺の頭のてっぺん辺りを狙い、

“ ピッ!”

と、グ~から指を一本突き出した。

“ ほ~ら、やっぱり・・・!”

俺は指差す方向を無視し、

“ もう、その手はダメだって!”

と、足挫ババアの顔を見る。
 すると、上に上がっていた足挫ババアの両方の黒眼がストンと落ち、俺の顔を正面で捉えた。
見詰め合う二人。
でも、特に見詰め合いたくも無い。
 しかし、それでも、

“ え・・・・・・!?”

また、両眼だけが突然上を向いた。
 それで再び、右手のグ~が窓の下から現れて、徐々に上がって行く。

“ また、来・た・け・ど・・・・?”

そして、俺の頭のてっぺん辺りを狙い、

“ ピッ!”

と、グ~から指を一本突き出した。
 と同時に、足挫婆さんの口から、

「 ウホッ!?」

と言う声がした気がした。









更新日:2017-02-23 22:07:33

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