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小説

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コンの記録

稼働していた洗濯機が止まり、取り出した衣類を洗濯かごへ。
入りきらぬシーツを腕にかけ、持てるだけ持った双枝は裏庭に足を向けた。
縁側に洗濯かごを降ろし、サンダルを履いて物干し台に歩み寄る。
快晴の空の下、腕にかけていたシーツを干し始めた。

「おはようございます」

縁側から葛の葉の声が。振り向けばパジャマ姿で立っていた。
起きて間もないからか、寝癖がついたままの髪である。

「おはよう。ちょっと待ってて、着替えを持ってくるから」

そう言って双枝が踵を返せば、軽く手を挙げて制された。

「家事を任せきりにするわけにはまいりません。
 手順を教えてくださいませ」

双枝は思わず微苦笑する。

「それじゃあ、衣類に合わせた干し方から」

歩み寄って洗濯ハンガーを手にした。
形状ごとの使い方やしわの取り方を教え、衣類を物干し竿にかけていく。
終われば洗面所に向かい、洗濯機の使い方を説明し始めた。

「はよー……って、姐さん、はやっ」

現れた明美が挨拶し、葛の葉を見て大袈裟に驚いてみせる。
後ろにいた凛と真希が足を止めていた。
明美が動けば挨拶し、洗面所が賑やかに。

「おはよう。昨日は眠れた?」

「おかげさまでよく眠れました。
 そちらは何をされているのですか?」

「洗濯。人数が増えたから、二回に分けてやらないと」

凛の質問に答えつつ、収納棚から取り出したタオルを手渡す。

「歯ブラシは買い置きで足りそうね。
 着替えとヘアブラシは買いに行かないと。
 あと何が要るんだっけ?」

人数分揃うものを洗面台に置き、顎に手を当てて考え込むような仕草をした。
そのまま洗面所を後にする。
自室に入れば押入れの前に寄せた椅子に乗り、天袋から収納ケースを引っ張り出した。
床に降ろして蓋を開け、商品タグが付いたままの下着を取り出す。

「あのー、着替えはどこっすか?」

追いついた明美に背後から声をかけられた。

「探し中。ブラも買わないと」

「昨日着てたやつでもいいっすよ?」

「これから人に会わせるから、汚れた着物ではちょっとね。
 パジャマの方がマシかも」

「そっちはノーブラっすもんね」

「そういう意味で言ったんじゃないけど」

双枝は苦笑し、収納ケースの蓋を閉じる。
玄関チャイムが鳴るや顔を上げ、机上の電波時計を一瞥してから立ち上がった。
一人で玄関に向かい、鍵を開けて引き戸を開ける。

更新日:2017-04-17 21:36:40