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小説

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Новая жизнь ~対話~

日差しが柔らかくなってきた。
どんよりとした雲の切れ間から太陽がのぞくようになると、春が近い。
相変わらず雪は降ってくるが、硬くなっていた路面の凍結が雪を吸い込むように溶けていく。

広いミハイロフ家の庭の木々も芽吹く時を待つように新芽を起こしていた。
その庭は人手が足りないせいで、手入れが行き届かなく鬱蒼としている。それがかえって人目を遮っていた。
ユリウスはマルコーの背に乗り、ゆったりと操っている。
横乗りは好きではないが、身重の体では仕方ない。ドレスの裾をたくし上げてマルコーの背に乗る。

オークネフをはじめとして、ミハイロフ家の面々は止めにかかるがユリウスは気にしていない。実際、医師の見立てでは多少の運動は良しとしている。乗馬も過激にならなければよいということだ。

「ユリウス様、そろそろお戻りくださいませ」

ユリウス付きのリザが声をかける。

「お体に障ります」

もっと乗っていたいのだが、あまり自分を主張すると使用人たちが困ることになる。ようやくつわりが治まり、ヴァシリーサはじめとするミハイロフ邸の皆が胸をなでおろしたばかりだ。

「いま、戻るね」

マルコーの手綱を操り、馬車寄せに入ってきた。
馬が止まると控えていた下男たちが手綱を引き受け、ユリウスを丁寧に下した。

「まだまだ外は冷えております。湯の用意をしております」
「うん、ありがとう」

ふと空を見上げた。アレクセイが帰ってから何日過ぎただろう。あのアパートにいた時も彼の帰りを待っていた。いまは、前よりも会えない日が多いように思う。

「ユリウス様」

リザに促されるように邸内に入っていく。
少し膨らんできたお腹をさすり、ゆっくりと階段を上がって浴室に入った。
香油を垂らした湯につかり、一息つき自分の身体をまじまじと見てしまった。
身ごもったせいで以前よりも豊かになった乳房。下腹部もふくらみが増し、皮膚の下に脂肪が乗ったのか丸みが出てきた。あとひと月もすると胎動を感じるだろうと医師は言っていた。
日を追うごとに身体に変化が起こる。
窮屈だと感じていたドレスもお腹が大きくなるとしっくりくる。相変わらず、裾裁きがうまくいかないのだが。

湯と戯れているとリザが声をかけてきた。

「ユリウス様、湯加減はいかがですか」
「うん、ちょうどいいよ。おばあさまはどうしていらっやるの?」
「おくさまはお部屋でくつろいでおいでです。あとでいらっしゃいますか?」
「そうだね、縫物の続きも教えてもらいたいし」

初めの頃は手縫いのものに苦戦していたようだが、つわりが治まってからはヴァシリーサに産着の縫い方を教わり、自分でもせっせと縫っていた。
元来、器用な性質らしく今では難なくこなしている。

リザに髪を洗ってもらい、湯から上がる。ほっそりした体格は変わらないが、腹部が膨らんでまろやかになった印象がある。
ゆったりとしたドレスを纏い、ヴァシリーサの居室に向かった。

更新日:2017-04-05 22:36:50

Еще одна история オルフェウスの窓