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小説

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Новая жизнь ~息吹~

膝まで降り積もる雪をかき分け、ゆっくりと歩く。
裾を引くドレスでは歩くこともままならないから、ズボンに着替える。
ブーツを履き、フードのついたコートを纏い、目指すのは屋敷のはずれにある馬屋。

肩や頭に積もった雪を払って、木製の引き戸を開けた。

「マルコー、ご機嫌いかが?」

ソプラノの声が厩舎に響く。その声を聴いて、いななく一頭の馬。

「どうどう・・・飼葉はもらった?ブラッシングしてもらえた?うん、いい感じだね」

馬の鼻ずらを撫でて声をかけると、嬉しそうに鼻を鳴らす。

「ごめんね、ずっと会いに来れなくて。やっとご飯が食べられるようになったんだ」

ようやくこの4~5日で嘔吐が治まり、まだ胸やけは残っているが食事が取れるようになってきた。
外に出て風邪をひいては一大事と周囲が止めにかかるものだから、こっそりと馬屋にやってきた。


肺炎が落ち着きつわりが始まる前、ピアノを弾く合間にユリウスは馬屋を見つけた。厩舎の引き戸を開けると中には見事は葦毛の馬が一頭佇んでいた。
厩舎の中で作業をしていた下男がユリウスに気が付き、慌てた。

「どうなさったんですか、こんなところまで」
「この馬は?」

葦毛の馬の瞳をまっすぐに見つめてユリウスは近づいた。

「アレクセイ坊ちゃまの馬でございますよ」
「アレクセイの?」
「はい、7歳のお誕生日に奥様が贈られたものです」
「へえ、誕生日のプレゼントに仔馬なんて、さすがに侯爵家だね」

馬の顔に手を伸ばした。

「ユリウス様、お気を付けください。マルコーは見知らぬ人には・・・」

慌てて止めようとしたが、ユリウスは躊躇うことなくマルコーの鼻ずらを撫でた。
撫でられたマルコーは気持ちよさそうに目を閉じている。
もともと、気難しい気性でアレクセイ以外のものが世話をすることを嫌う。アレクセイがいなくなってからは特にそれが酷くなり、鞍を付けることすらできなくなっていたという。どうにかこの下男だけは世話ができるようになってくれていた。
そのマルコーがユリウスのするがままにさせている。ユリウスがアレクセイの愛しい大切な人だと分かっているのだろうか。

「いい子だね、マルコー。もうすぐアレクセイが来ると思うから、その時は会えるよ」

一層嬉しそうに前脚で足元の敷草をかいている。

更新日:2017-03-20 08:42:42

Еще одна история オルフェウスの窓