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小説

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果てしのない孤独


 八

 桜が散り、無残な日々を過ごした私がようやく立ち直り、最後の仕上げに取り掛かっていた師走のある日、きみからの小荷物が届いた。このタイミングがいかにも、きみらしかった。
 らしかった――というのは、夢破れて間なしの頃であれば、失意の奥底に沈んだまま耳を閉ざし、己と対峙しているであろう私を想像できる、きみならではの配慮に思えたからだ。
 包みを解くと、そこには封書と一冊の本、そして肩タタキが入っていた。書籍は薄い新書で、肩タタキは、背中を掻くときの孫の手がついた、地方の土産物店によくある代物だった。

更新日:2017-03-02 11:37:15