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第一章 出逢いと別れ

1.
それは、もう30年も前のことです。
私は、昼間は自動車部品会社の事務をしておりました。
そして、夜は洋服のデザイナーを目指して、専門学校に通っていました。
当時の私は、茨城の片田舎から東京に出てきた垢ぬけない女の子でした。

そのような私が、ある日、衝撃的な出会いをしました。
それは、同じ会社に勤める人でした。

入社して、2ヶ月ほどした頃でした。
私は仕事がおわり、会社の門を出ようとした時です。
私の目の前を一台の車が通り過ぎようとしていました。
私は、はっとして顔を上げ、運転席を見ると一人の男性が乗っていました。
その横顔を見た瞬間、私が探していた理想の人は、この人だと思いました。
その日から、私は恋に落ちてしまいました。

彼は、都会的なスマート雰囲気を持っており、何よりも笑顔が素敵でした。
でも。その時、すでに、彼には妻子がいました。
私、順子が19歳。彼、和也が32歳の時でした。

更新日:2017-02-15 21:13:23

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