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第1章


 意識が覚醒した。それと同時に聞こえてくる階段を上って来る聞きなれた足音。お母さんだ。

「ほら、学校よ。早く起きなさい」

 俺は少し目を開けて布団の直ぐ近くに置いてある電子時計を見た。そこには6:48と表示されている。まだ眠かったためそのままの寝ている態勢でいると...ジャージを頭の上に投げつけられた。
「雪降ってるから早く起きてきなさいよ」
 そして、お母さんは階段を下りて行った。

 別にまだ眠っていたっていいじゃないか15分程度で着くんだから。俺はもうひと眠りした。
「ほら、何やってんの。遅刻するわよー。今日はもう会社行かないといけないから母さんいないよ」

 その声で覚醒した。まだ眠気は有ったが学校に行かないわけにはいかないので、無理やり目を覚まし時計を確認する。今は7:10だった。俺は、その辺に放り投げられていたジャージに着替えて階段を下りる。
「朝ご飯は?」
「そこに食パンあるでしょ。チョコペーストが有るからそれつけて食べて」
「分かった」
俺は適当に食パンを手に取り更にのっけてチョコを付けて食べた。

 左側にある窓を見てみると予想外の景色だった。この積雪量の雪、一体いつぶりだろうか? 

 滅多に雪なんて降らない気候だというのに。これを見て急ぐことにした。こんな雪の中いつもどうりの速度で自転車漕いでいたらスリップしてしまう。因みに兄の姿はいない。兄はいつも6:50ごろの電車に乗っていくのでもう既に登校しているのだ。

 テレビを見ながら食べ終えると、yシャツを着て中学の制服を着る。あと少しで高校の制服になるのかと思うとどんな制服なのか少しわくわくした。制服に着替え終えると洗面所で歯磨きをして顔を洗い寝ぐせのついてはねている髪に水を少しつけてタオルで拭く。すると、寝ぐせがきれいさっぱり治った。それを鏡で確認すると何の確認もしていないリュックを背負って言った。
「行ってきます」

その時テレビで時間を確認すると7:31だった。いつもよりも早い。
「ちょっと待って」
お父さんの声が洗面所の方からそう聞こえたので取り敢えず靴を履いて待っていることにした。

「まだ?」
俺がそういうと、足音が聞こえて玄関のドアからお父さんがやってきた。
「手袋いる?」
「あ、欲しいです」
手袋をはめた。
「じゃあ、行ってきまーす」
「はい」
 俺はタッチして家のドアを開けた。

 そして広がる白銀の世界。北の方でしか見たことのないような雪が降っていた。右側の芝生の庭を少し歩くといっつも自転車を置いてある場所に着く。自転車のロックを外してそのまま自転車を引きながら階段を下りる。

 道路に着いたら途中まで引いていたがめんどくさくなってきたので自転車に乗って漕いで学校まで結局行ったのだった。



 学校に行くとき、カッパを着ていかなかったため着いた時には制服が雪で真っ白になってしまっていた。手袋の上から触っているというのに手が冷たさでかじかむ。走っていると前方から雪が突撃して目に入ったり口に入ったりで最悪な登校だった。



学校に到着すると自転車を駐輪場に置いた。因みに友達とは登校時にはめったに会うことは無い。本当にまれだ。

 今の『時間』は確認することが出来ない。駐輪場には時計があるがしかし、針がずっと前から止まっているため使えないのだ。

 昇降口に入ると緑色のマットが敷かれている。そこまで外靴で行き、脱いで、靴下だけとなった。そのため、マットの外に足を置いたのだが、俺はつくづく運が悪いのだろうか? 

 置いた場所がびしょびしょに水で濡れていた。しかも僅かに土も混じっていたのか濁っている水にだ。

「あ」
この言葉しか出なかった。取り敢えず濡れたまま靴箱まで外靴を持っていき上靴を取り出して履く。そうすれば、そこまで気になることはないから...。

 時計を見ると7:58。教室は2階にある。8:15までに教室に入っていれば遅刻することなんて無いので、余裕で間に合う。そして雪で濡れた制服とリュック、さっき不注意で濡れてしまった靴下をはいた状態という酷い恰好で教室へ向かったのだった。


 教室に着くとそのままの足取りで自分の席に座った。これだけの目にあってても眠気は覚めることはなかった。

更新日:2017-02-16 00:27:50

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授けられた能力 ~世界が変わったその時~