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大まおからギイタクへ

「うん。信頼は伝わってくるけど、まだ友情かなあ。
ほら、恋って切なさとか、色香とかあるじゃない?」

「そうですよね。」
「はい・・。」

テニミュ4代目として、合宿も経験したし、毎日楽屋で顔を合わせていた。
赤の他人から始まった関係だけど、今ではそれなりに気心も知れている。
至近距離で顔を突き合わせて、気恥ずかしさは感じることはあっても、気まずさは感じない。

一緒にいて居心地がいい。楽しい。
それだけではダメなんだ。

実際、女の子と付き合ったこともあるけど、楽しい、以外の感情を経験したことがない。
うーん。
知らない感情を表現して、と言われても難しいんだけど。

「一旦、リセットする?二人とも気分変えてみよっか。」


恋人を表現するってどうしたらいいんだろう?
考えて、考えて、気が付いたら恋人どころか顔がこわばってしまっていた。

「そうですね。ほら、まお。リラックスしないと。」
「うん・・・。」

大ちゃんが優しく声をかけてくれるけど、閉塞感は否めない。
経験豊富で、恋も愛も知っている大人。
どうしてぼくなんかが隣に選ばれてしまったんだろう。
同じ位置に立てるはずもなく、さっきから迷惑ばかりかけている。

「ごめんなさい。」
「謝っているうちは、恋人になれねーぜ?」

うつむいてしまったぼくのほっぺたをむぎゅう!と両手で挟む。
唇がとんがって、苦しい。

「あははっ!変な顔!アヒルみてーっ!」
「もうっ!ひどいよっ。大ちゃん。人が真剣に悩んでるのにーっ!」
「やっと笑顔になったな。スタートラインだ。」

・・・あ。

一緒にいて楽しい。
友情としての当たり前の感情だ。
考えすぎて友情すらもわかんなくなってしまっていた。

「大ちゃん、好きだよ。」
「おっ、唐突な告白だなあ。」

タクミの気持ち。
目の前にいる人は、大好きな人。

「大ちゃんは恋人。」
「・・・なんか、お前に見つめられると照れるな。」

好きな人をしっかり胸に焼き付けようと、まっすぐに見つめる。
大ちゃんの瞳に映る光がゆらゆらと揺れる。
透き通って、綺麗で、はかない蝋燭の炎のように頼りないのに熱い。

見つめ返してくれながら、揺れる視線に。
切ないほどの愛おしさを感じた。

ああ。恋するってこんな感じだろうか。

「大ちゃん・・・?」
「ん?」
「好きだよ。」
「ああ。」

揺れていた瞳を捕まえると、視線と視線が絡まり合う。
すうっとお互い自然に引き寄せられ、唇が重なる。
甘く、やわらかであたたかい。
きゅうっと胸がよじれるのに、あたたかく包み込まれている。

背中に腕がまわる。
ぎゅっと胸が密着する。
鼓動がリンクする。

唇が頬を滑り、首筋に滑る。
指先が髪をすき、首筋をくすぐる。
知らずに漏れた吐息は、甘い。

「大ちゃん・・。」
「愛してるよ。タクミ。」

夢うつつで心地よい世界に浸っていると、耳元にささやかれた。
ああ・・・。ギイとタクミだった。

「・・・ギイ。」

ぼんやりとした視界に映るぼくの恋人の名を呼ぶ。

「そうだよ、タクミ。」

大丈夫。怖がらなくていい。
この人は全てのものからぼくを守ってくれる。
ぼくはただただ信じて、追いかけていればいい。

「んんっ。」

ギイの唇が首筋をたどる。
喉。鎖骨。胸。
両方の腕をしっかりと捕まれ、安心する。
どこにも逃げない。
ぼくの居場所を教えてくれたギイ。

シーツの中にギイの頭がもぐる。

「ギっイっ・・・。」

舌先がへその窪みをたどり、茂みをさぐる。
高い鼻梁が肌をくすぐる。

「やっ。あっ・・。」

指先がすうっと内ももを撫でる。
ぐいっと膝を割られ、きわどいラインを唇が探りを入れる。




更新日:2017-02-04 17:41:51

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それでも、大まおが一番!その2(2017)