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【お題H:夜明け】夜を繋ぐ赤

手を伸ばせば。
あなたがいる。

帰らなくちゃいけないと言いながら、久しぶりだから話そうかなんて
話すこともないくせにあなたを引き留めたんだ。
そうだね僕たちは仕事でずっと一緒だったし一緒過ぎて家族以上だったから
いざ仕事での関係がなくなると特別話すことがないんだ。

それでもあなたは僕に仕事はどうだと聞くし
僕があなたにそれを聞けないのを分かっていて笑うし
短くなった髪。どんなあなたでもいつでも、好きだよ
何度でも惚れ直す。

僕の部屋で二人きりで
あなたが行ってからちょっとだけ変わったでしょ
旅の話も、日本の話もたくさんしたいのに
それすら言葉にできないほどあなたと触れ合いたくて

検査があるから
下手なことはできないよ、だけど抱き合うだけなら
証拠なんか残らない、残さないさ。

たくさんの口づけ。
たくさんのハグ。
お互いの体に、痕をつけないように。
誰かに見せるわけじゃない、痕なんかつけなくていいんだ。
あなたは僕のものだし、僕はあなたのもの。

遅くまでただそばにいて
お互いの体に触れ合って抱きしめて
あなたは言う、この目も、この腕もこの足も、お前の体全部が
俺の知らない新しい世界を、知っていくんだな。

あなただって同じだよ、ユノ。言いたくて、言えなくて
だってもうあなたは、立派に軍人だから
僕たちの生まれ育った国を守るために命を懸ける人
それが生まれながらの使命であり誇りである命
たくさんの光を受ける世界を、知ってしまった今では
あまりにも悲しい定めだと思いながらも。

あなたは、国を
僕は治安を守る。

その勤めを終える日は必ずきて
ふたりでまた一つのステージに立つ日を迎える
その時に一緒に、泣けたらいい
笑えたらいい
誰に見せるわけじゃなくても痕を、残せたらいい。

この世界に
ふたりの間に
お互いの体に

ねえ、もうすぐ夜が明ける。

離れたくない、だけど泣かないんだ。
あなたが好きだから。
頭を撫でると。

子供のあなたを、抱きしめたような気さえする。

同じように短く切りそろえられた僕の髪に
あなたが触れることはないのかもしれないけれど。

早くステージに立つために
早くこの暗がりを抜けよう
朝日は必ず昇る
僕たちは必ずまた復活する。

愛してる。その胸の中で、つぶやく。
耳元で聞こえる、甘い声。繰り返し胸の中で響かせる。

朝の光は。
あの赤に似ている。
赤い海へ孵ろう。・・・必ず。







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夜明け(ホミン) kikiさまに捧げます。

実際どうなのかわかりませんが
昨日弔事でユノとチャンミンが同席したらしいというツイを見て
時間的にそうだなあお泊りしてたらいいなあって(ないだろうけどw)
なわけでその2のほうからになっちゃいましたがこちらを。

更新日:2016-11-03 14:14:07

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