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思慕
兄貴の死をきっかけに、祖国ロシアからドイツにやってきた。
エーゲノフル教授の親族がいるドイツ。
そこで、クラウス・フリードリッヒ・ゾンマーシュミットという名を名乗った。
表向きは、レーゲンスブルクにある音楽学校の生徒だ。
幸い、おれのヴァイオリン技術は音楽学校の教授たちを驚嘆させた。
即、転入が認められ、学校の寮に入った。
初めての学校、始めての級友たち。
家庭教師しか知らなかったおれにとって、新鮮なことばかりだった。
多少堅苦しいこともあったが、生粋の貴族育ちでなかったおれは好き気ままに振る舞うことが楽しくて仕方なかった。
兄貴の婚約者で、おれの教育係でもあったアルラウネにとってはもどかしいことが多かったかもしれない。
それでも、おれは青春を謳歌した。大好きなヴァイオリンを弾き、有能な指導者に出会い、ばか騒ぎをする友達。
ロシアでは得られなかったものをどん欲に吸収した。
そこで出会ったのが、あいつだった。
おれの運命の恋人。
生涯忘れることのないただ一人の女。
ユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤ
輝く金色の髪と碧い瞳。
エーゲノフル教授の親族がいるドイツ。
そこで、クラウス・フリードリッヒ・ゾンマーシュミットという名を名乗った。
表向きは、レーゲンスブルクにある音楽学校の生徒だ。
幸い、おれのヴァイオリン技術は音楽学校の教授たちを驚嘆させた。
即、転入が認められ、学校の寮に入った。
初めての学校、始めての級友たち。
家庭教師しか知らなかったおれにとって、新鮮なことばかりだった。
多少堅苦しいこともあったが、生粋の貴族育ちでなかったおれは好き気ままに振る舞うことが楽しくて仕方なかった。
兄貴の婚約者で、おれの教育係でもあったアルラウネにとってはもどかしいことが多かったかもしれない。
それでも、おれは青春を謳歌した。大好きなヴァイオリンを弾き、有能な指導者に出会い、ばか騒ぎをする友達。
ロシアでは得られなかったものをどん欲に吸収した。
そこで出会ったのが、あいつだった。
おれの運命の恋人。
生涯忘れることのないただ一人の女。
ユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤ
輝く金色の髪と碧い瞳。
更新日:2016-10-28 07:57:07