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小説

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蜜月 ~ハネムーン3~

ホテルで借りた小さな花瓶に生けられた真っ白いバラのブーケとブートニア。
質素な部屋に置かれたテーブルセットにその花瓶を置いて、二人は向かい合って座っていた。

モスクワ市内の簡素なホテルの一室。

同志たちの思いがけない心遣いにアレクセイとユリウスは感動で胸がいっぱいになってくる。
二人ともほとんど言葉を交わすことなく、部屋に戻ってきていた。
ただ、お互いの手をつないだまま。

「アレクセイ」
「ん?」
「どこからあれを調達してきたの?」
「そうだな、たまたまだ。聞いてみたら、あるっていうから」
「びっくりした」
「そうだろうな。おれもまさかと思った」
「ありがとう」
「ん?」
「嬉しかった」
「そうか。それはよかった。おれも久しぶりに高揚しちまった」
「うん、忘れないよ、この旅行」
「連れてきた甲斐があったか?」
「もちろん」

碧がかった青い瞳が見つめてくる。鳶色の瞳も暖かい眼差しで見つめる。

「アレクセイ」
「なんだ」
「好きだよ、愛してる」
「おれもだ。愛しているよ」

お互いににっこり微笑むと顔を寄せた。

更新日:2017-01-21 22:19:15