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黎明

挿絵 800*530

「うぁ・・・・あ、や・・・・めて・・・」
「いや・・・・ぁああ・・・・」

一気に目が覚めた。
身体を起こして、隣の寝室からの声に耳を傾けた。

寝室に入ると、上掛けが乱暴に動いていた。

「ユリウス・・・」

駆け寄って肩をつかもうとしたが、錯乱状態なのか頭を左右に振っている。

「ユリウス!!」
「やめろぉ!・・・・」

もう一度強く名前を呼んで肩を揺さぶった。

「ユリウス!俺だ!!目を開けろ!!」

ベッドに押さえつけるように肩をつかんだ。

「いやぁああああ・・・・」

錯乱状態のユリウスを抱きしめ、動きを押さえ込む。
両手をばたつかせて、身体をしならせる、首をのけぞらせて叫ぶユリウスを抱きしめた。

「大丈夫だ、大丈夫だから落ち着け。ユリウス!!」

渾身の力を込めて抱きしめているうちに、ユリウスの身体から力が抜けていった。
だらりと腕を下げ、頭をアレクセイの肩に持たせかけている。

「ユリウス、ユリウス」

ゆっくりと顔を上げたユリウスは涙を流していた。
目の焦点がまだあっていない。ぼんやりをした目線をアレクセイに向ける。

「あ・・・・」
「俺だ・・わかるか?」
「あ・・・アレ・・クセイ・・・?」

ようやく碧の瞳に生気が宿ってきた。ハッとしたように目を見開き、アレクセイを見つめると飛びつくように抱きしめてきた。


更新日:2016-10-14 18:41:16

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