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第7話 イースター休暇~シューマン バイオリン・ソナタ第1番

挿絵 321*400

【Photo: Meyer & Meyer Inc.】



あの年の復活祭は、よく覚えている。
公園での「皇帝」の野外演奏は大成功だった。イザークのピアノは勢いがあって素晴らしく、奴もプロのオーケストラでコンサートマスターを務める機会をもらい、よくやっていた。


イースター休暇に入ったので、僕は、奴と一緒にミュンヘンの家に帰った。

復活祭には、ホワイト・アスパラガスの前菜に春の訪れを感じながら、ブルゴーニュのモンラッシェなどの白ワインを楽しんだ後、仔羊のローストをボルドーのポイヤックの赤ワインとともに食するのが僕の家の定番だ。この時期にしかない乳飲み仔羊は、柔らかくて本当にうまい。

午後は、家の音楽室で大半の時間を過ごした。
庭に面した大きな窓のある居心地の良い部屋で、グランドピアノが置いてある。
母のお気に入りの場所だった。

明るい春の陽射しのなかで、奴のヴァイオリン、母のピアノ、僕のチェロで、いつもどおりピアノ三重奏をする。
ベートーヴェンの「大公」やブラームスの1番などを弾く。明るい色調と誇らしさに満ちた曲がこの季節の光の美しさによく似合う。母は、僕らと合奏するのをいつも楽しんでいた。


更新日:2016-10-16 13:02:37

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