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手がかりを求めて
クルーザー内で遺体が発見された事件が起きたのは、
一月十六日の早朝だった。
ちょうど工藤新一が宮野志保のマンションに転がり込んで一緒に暮らし始めた頃。
一時期、毛利蘭との関係が上手くいかなかったこともあり、
事件の謎を追いかけることに夢中になりがちな自分には、
恋人の存在など煩わしいものだと新一は思っていた。
あの頃の新一は蘭と心が通い合わなくなってしまった関係に、
少し自棄になっていたのかもしれない。
しかし、所詮、人なんて現金なもので…………
新しい恋人を得てしまうと考え方まで180度変わってしまう。
新一の場合、蘭とまだ正式に別れていない状態で、
志保を恋人と呼ぶには少々問題もはらんでいたが……。
それでも、新一の中では恋人と言えば……
もはやそれは宮野志保のことだった。
今はあの頃とは真逆で嫌な事件が起きれば起きるほど、
新一は志保の存在に癒しを求めるようになっていた。
二十四時間、事件の謎が頭から離れない時でも、
彼女は良き相談相手になってくれる。
何より彼女を腕に抱いて寝れば、
事件の悪夢にうなされそうな夜もぐっすり眠ることができた。
新一は精神的にも肉体的にも彼女を必要としていた。
そんな風に気づいてみれば、恋人の存在の大きさ──
志保のいない生活は考えられなかった。
そうして、新一は工藤邸に帰らなくなっていた。
一月十六日の早朝だった。
ちょうど工藤新一が宮野志保のマンションに転がり込んで一緒に暮らし始めた頃。
一時期、毛利蘭との関係が上手くいかなかったこともあり、
事件の謎を追いかけることに夢中になりがちな自分には、
恋人の存在など煩わしいものだと新一は思っていた。
あの頃の新一は蘭と心が通い合わなくなってしまった関係に、
少し自棄になっていたのかもしれない。
しかし、所詮、人なんて現金なもので…………
新しい恋人を得てしまうと考え方まで180度変わってしまう。
新一の場合、蘭とまだ正式に別れていない状態で、
志保を恋人と呼ぶには少々問題もはらんでいたが……。
それでも、新一の中では恋人と言えば……
もはやそれは宮野志保のことだった。
今はあの頃とは真逆で嫌な事件が起きれば起きるほど、
新一は志保の存在に癒しを求めるようになっていた。
二十四時間、事件の謎が頭から離れない時でも、
彼女は良き相談相手になってくれる。
何より彼女を腕に抱いて寝れば、
事件の悪夢にうなされそうな夜もぐっすり眠ることができた。
新一は精神的にも肉体的にも彼女を必要としていた。
そんな風に気づいてみれば、恋人の存在の大きさ──
志保のいない生活は考えられなかった。
そうして、新一は工藤邸に帰らなくなっていた。
更新日:2018-05-15 23:23:41