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ささやかな想い
僕がそれに気付いたのは、もう誰が見ても分かるくらいに彼女のお腹が大きくなっている時だ。
毎日同じ交差点で、同じ時間にすれ違う彼女の名前も知らなければ、どういった人なのかも知らない。趣向も、仕事も、その人となりは全て知らないと言ったっていい。
ただ唯一知っているのは、彼女が――いや、彼女に限ったことじゃないが――その前面に表現され、誰かれ構わずに振りまいているその顔くらいだった。
あくまで一般的には、お世辞にも美しい顔だとは言えないけれど、なんの意味もなしに毎日すれ違っているとただそれだけで小さな親近感みたいなものが生まれた。
そして、もちろん声を掛けるとかそんな大それたことなどないのだけれど、なんとなく僕は毎朝彼女を目で追ってしまう。
毎日同じ交差点で、同じ時間にすれ違う彼女の名前も知らなければ、どういった人なのかも知らない。趣向も、仕事も、その人となりは全て知らないと言ったっていい。
ただ唯一知っているのは、彼女が――いや、彼女に限ったことじゃないが――その前面に表現され、誰かれ構わずに振りまいているその顔くらいだった。
あくまで一般的には、お世辞にも美しい顔だとは言えないけれど、なんの意味もなしに毎日すれ違っているとただそれだけで小さな親近感みたいなものが生まれた。
そして、もちろん声を掛けるとかそんな大それたことなどないのだけれど、なんとなく僕は毎朝彼女を目で追ってしまう。
更新日:2015-08-21 23:44:59