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プロローグ

「志保、どうした? 大丈夫か?」

いつもは新一が起きる前に必ず先に起きて朝食の準備をしている志保が、
今朝は隣でまだ寝ている。

「工藤君、ごめんなさい……今日は無理みたい」
「うーん、あれか……またひどく痛むのか?」
「ええ、ちょっと」

新一が心配そうに志保を優しく抱きしめると……
具合の悪さを紛らわそうと志保も彼に甘えた風に新一の胸の中で丸くなる。

頭がずしりと重く、腰はひどく気怠くてお腹がギュッーと、
締め付けられるような絶え間ない痛みが続いている。
志保は全身に不快感を感じて辛かった。
新一も志保の調子の悪さを気遣って優しく腰をさすってやる。

志保は少女から大人へ戻る際に、急激なホルモンの変化が起こったために、
解毒剤の副作用として生理不順とひどい生理痛に悩まされていた。
今回も予定よりも一週間も早く生理が来てしまい、
早朝からひどい痛みを伴っている。

新一の方には今のところ目立った副作用は何もないのだが……。

以前、宮野志保だった時には生理周期も安定していて、
生理痛もこれほどひどくなかったので、
解毒剤の副作用ではないかと志保はすぐに思い至った。

ただ理由が理由なだけに婦人科に行くわけにもいかず、
解毒剤の副作用との関連を気にして薬の服用にも慎重で、
痛み止めも極力飲まずに志保はやり過ごしていた。

APTX4869と解毒剤の開発者である宮野志保本人の見解では──
一年ほどすれば急激に大人の女性に成熟した身体の機能も安定して、
ホルモンのバランスが良くなり、このような副作用もなくなるのではないかと……
そのように志保自身が分析していた。

更新日:2017-01-09 12:56:48

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哀情恋慕 特別編 【コナンで新一×志保】