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「バーロー、俺はおめえを抱かねーよ」

「……蘭さんがいるから?」

「ちげーよ。今のお前は正気じゃないからだよ。
ストーカー野郎のことを忘れたいから……
おめえは優しく抱いてくれる男なら誰だっていいと思ってるだろう。
そんなおめえ抱いたって俺は少しも嬉しくねーんだよ」

そうカッコつけたかと思ったら、新一がボソッと志保の耳元で囁いてくる。

「いや、俺じゃなきゃどうしても嫌だって言うなら、
考えてやってもいいけど……」

真面目な声でどこまで本気で言ってるのか、志保をクスッと笑わせた。

「貴方ってやっぱり正義のヒーローなのね」

「なんだよ、またそれかよ……。
俺は正義のヒーローになんかなりたくねーよ。
それよりさ、おめえ、気づいてんのかよ。
さっきからずっと真っ裸なんだが…………」

ようやく志保がいつもの調子を取り戻す。

「工藤君、見ないでよ!」

そう言いながらさらに新一に強く抱きついてくる。

「おいおい、おめえ……離れろよ。俺だっていちおう男なんだぜ」

「でも、貴方、私に言ったわよね。
俺は理性の欠片をなくすことはないって……」

「バーロー、時と場合と……相手によるんだよ!
俺の気持ち、わかれよ。
おめえ相手に俺……そこまで理性的でいられねーよ」

新一の懇願するような声に志保が少し恥ずかしげにしながら、
新一から離れていく。

新一の瞳が志保をじっと見つめている。
昨夜から何度も目にした志保の裸。
とても綺麗だ。
もう誰にも遠慮する気はない。

「やっぱりおめえは綺麗だよ。あんな野郎におめえを汚せるわけねぇー」

新一は志保の腰を抱き寄せると、彼女の唇に口づけた。
志保も新一の肩に腕を回して彼のキスを受け止める。

その瞬間、二人の心のストッパーがカチャリと外れる音がした。

もうさよならのキスはいらない。

熱いシャワーが降り注ぐ中、
今度こそ二人は時間を忘れていつまでも唇を重ねていた。

更新日:2017-11-05 23:36:21

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未熟なふたり ~ 迷える子羊たち 【コナンで新一×志保】