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壮絶!俺流腹筋運動

というわけで、俺は、ベッドの上で、腹筋運動を始めた。


これを読んでいるお前らの中にもいるだろうな。回数を気にするバカが。



“回数という名の甘え”を設定した時点で、一流どまりである。

超一流になりたい俺は、回数など設定しない。気絶するまでやるだけだ。


大体、一流と呼ばれるアスリートのドキュメントを見ても、俺はいつも憤りを感じていた。


“腕立て伏せ100回を毎日こなします。”



は?


お前が、最大限、能力の限界までやった数字が、そんなキリのいい数字なわけがない!


10進法というものに縛られている軟弱アスリートの悲しいドキュメントにしか俺にはみえない。


気を失うまでやればいいだけだ。


回数という名前の甘えを捨て、俺は腹筋運動をしはじめた。


ベッドがきしむ音がする。


ギィー、ギィー。


1回、2回、3回。

ここからは神の領域だ。



4回、5回。


根性なら誰にも負けない。


その時、俺の体に衝撃が走った!!



ベッドの下のシーツがズレるのだ!!




聞いてない!



学校で習ってない!



俺は、腹筋運動自体の苦しさなら、誰よりも耐えることができるだろう。



しかし、シーツがズレるのは、嫌いだ!なんだ、このベッドは!



シーツがずれると、当然後で、シーツをベッドにかけなおさないといけなくなる。


体力の限界まで、腹筋運動をする俺には当然そんな力など残っているはずがない。

シーツめ!


人間には、二種類のタイプがある。



ひとつは、何かに夢中で走りだしてる奴をみると、素直に心から応援する人間。

そして、もうひとつは、何かに夢中になってる人間を見ると、揚げ足をとったり、批判したり、やっかみと嫉妬の炎で足をひっぱろうとするタイプ。




シーツにも二種類あるのだ。



ひとつは、何かに夢中で走りだしてる奴をみると、素直に心から応援するシーツ。

そして、もうひとつは、何かに夢中になってる人間を見ると、揚げ足をとったり、批判したり、やっかみと嫉妬の炎で足をひっぱろうとするシーツ。



俺の家のベッドのシーツは、残念ながら後者のタイプだったようだ。


こんなこと、お父さんもお母さんも教えてくれなかった。


そもそも、産んでくれとか、頼んでないし!意味わからんし!


俺は、ふと、自分のくしゃみで目がさめた。



ベッドのシーツがずれたショックで、どうやら気絶していたらしい。


ボクサーは大変だ。



今日はもう疲れた。

更新日:2015-02-10 11:47:19

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