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第十六話 占いの館

古来より、人間たちは吉事や凶事があるか知りたいと思ったとき、または自分の進むべき道に迷ったとき、占いと言うものを利用してきた。

そして、黒い霧に包まれる前の古代世界には、今にはない様々な占い方法があったと言う。

動物の骨や甲羅を使ったり、夜空の星を見たり、カードなどの様々な道具を使ったりすることもあれば、人の顔や手などを見て判断するものもあったと言う。

さらに上級者にもなれば、霊を自らの体に憑依させ、予言めいた言葉を発することもできると言う事だった。

オリディオール島に住む人々が利用する占いには、ほとんど種類がなかった。

しかし、暗黒世界へ冒険者が行くようになってから、占いに関する本もいくつか見つかっていた。

そして、そういった本の何冊かが、エルディアたちが今向かっている館にもあると言うことだった。

しかも、それだけではなく、占い以外の古代の資料や書物もそこにあると言う。

湖の中を進むエルディアたちは、召喚された悪魔の詳細を知るためにその場所へ向かっていた。

3人は、無事にクエストを達成できるのか?

島への上陸が始まろうとしていた。


エルディア、クフィン、カーリオの3人は、2匹のレイクタートルに船を引かれ、占い師ビルハッド・ギンチェスターのいる島を目指し、ニーフェの森の中にあるラルセニア湖の中を進んでいた。

そして、今、彼らの目の前に、島があった。

ジャック・オー・ランタンのジャックが、エルディアたちの方へ振り向くと、元気に話しかけていた。

「お客さん!もう島に着くよ!」

3人はやれやれといった感じだった。

「ようやくか……」

「ほんとうですね。島が見えてきましたね」

「あれが……」

エルディアは、その島を見つめた。

島の船着場にも、ランタンの火があるようで、ぼんやりと明かりが灯っているのがわかった。

それ以外は暗くて、あまりよくはわからなかった。

(とにかく、着けばわかる……)

そして、3人は無事に島へ上陸を果たした。

「ここがそうなのか……」

木の板で出来た船着場を辺りを見ながら歩いた。

大きな木が茂り、一本の道が草を掻き分けるようにあるのが見えた。

クフィンが、霊体の少年に尋ねた。

「おい、ジャック。そこの道を行けばいいのか?」

亀の頭を撫でながら、餌をやっていたジャックが、3人のいる場所へふわふわと飛んできた。

「館までの道のりは、簡単さ。あんたの言うとおり、その道を真っ直ぐ行けばいいだけだよ」

エルディアは、この少年に礼を述べた。

「……そう、色々ありがとう。助かったわ、ジャック」

ジャックは、屈託のない笑顔で答えた。

「気にする必要はないさ。おいらは、楽しかったからね。それじゃ、夜の間はここで、待ってるからね。さっさと済ませてきなよ!」

更新日:2015-06-21 00:12:19

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