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ほろほろホロンの大冒険 よん

この日から毎日、ホロン嬢は「ベストセラー作家GO!GO!GO!」内の色々な小説を読みにいき、自分と違う意見の人を見かけると、感想を書き、レビューをした。

しかし、レビューはとにかく、感想はすぐに消されてしまう。

「ほろほろ~、残念。感想って、作者さんのほうで消せるんだもん」

一度も感想を書きこんでもらったことのないホロン嬢は、ついこのあいだまで感想は消せるということを知らなかったが、今では消されるほうのエキスパートになりつつあった。

「でも、いいです。ホロンは、良いことをしてるんですからっ!」

二週間が過ぎたころ、ホロンのもとに「ベストセラー作家GO!GO!GO!」からメールが届いた。

IDの削除勧告だった。

ホロン嬢は、メールを読みながら泣き叫んだ。

「こんなのって、ないです!絶対に許せないですっ。ホロンはなんにも悪くないのに。天誅しただけなのにぃ。うぇ~ん!」

音符柄のパジャマの胸の部分をつかんで泣いため、パジャマのボタンが引きちぎれた。

しかし、どんなにホロン嬢がパジャマを引き裂いたところで、「ベストセラー作家GO!GO!GO!」のスタッフが情状酌量してくれることはなく、その日のうちにIDは削除されてしまった。

そして、ホロン嬢が書いていた傑作小説「マジカルわんこ」も消滅してしまった。

更新日:2013-04-28 15:26:31

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