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小説

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「いや、プシュケ―やんか!あんた、生きてたん?」

より好みしすぎていき遅れになっている姉ふたりがプシュケ―を出迎えた。

「生きてるに、決まってますがな。はいこれ、お土産!」

「ひぃえーっ!エミール・ガレのランプやないの」

「こっちは、サルバドール・ダリの絵ぇや」

姉たちは、本来ならこの時代では手に入るはずもない高級品を無造作に渡され、たちまち妹に嫉妬した。

「で、どんなお人やの?」

「お肌、すべすべや」

「背ぇは?」

「まあまあかな」

「顔は?」

「………」

「どやねんな?」

「…知りまへんねん…」

小さな声で、プシュケ―が答える。

「そないなこと、あるかいな」

「…そやかて、ほんまのほんまに見たことおへんねん」

「旦那の顔をかいな?」

「…そうどす…」

仕方なく、プシュケ―は姉たちにありのままを打ち明けた。

プシュケ―の話を聞き終えた姉たちは、目配せをかわすとふたりそろってプシュケ―の夫をこきおろし始めた。

「あはやな、プシュケー。そんなん、ばけもんに決まってるやん

上の姉が、断言する。

「ばけもんちごたら、信じられへんようなブ男や!」

下の姉が、勝ち誇ったように言う。

「ばけもんやったら、生け捕りにして見せ問小屋に売ったったらええねん。もうかるで」

「ブ男やったら、三文の価値もない!このナイフで刺しよし」

「なんべんも睦みおうてますさかい、ばけもんではないと思います」

プシュケ―は、まだ処女のはずの姉たちに、どう説明すればいいのか困って、赤くなりながら言った。

「ほな、正真正銘のブ男やな」

上の姉が言い放つ。

「ちゃあんと、胸の左側を狙うんやで」

下の姉が、嬉しそうに指導する。

「間違いのう心の臓を刺すためには、灯りがいるなぁ…」

上の姉はそう言うと、毎夜自慰に使っているロウソクをプシュケ―に渡した。

「確実に、仕留めよしや」

「へぇ、おおきに」

そう言うとプシュケ―は、ナイフとろうそくを持って清水寺へ戻り、舞台から飛び降りゼピュロスに愛宕山の頂上まで送ってもらった。

更新日:2013-04-20 12:16:29

京都生まれのキューピッドとプシュケー