• 11 / 92 ページ

旧校舎のディアボロス 第8話

「は?」

教室に入った俺の第一声は困惑の言葉だった。
いきなり、『オカルト研究部は俺を歓迎する』って言われても困る。
そもそも、オカルト研究部とやらに入る気はないし、ココに来たのだって今回の件で何かしらの説明があるからだ。断じて、入部しに来たわけじゃない。
やっぱり、木場に嵌められた?
再び木場を睨みつけ、目で『これはどういうことだ?』と問いかけた。

「部長、いきなりそう言われても事情がわかりませんよ。まずは僕らのことについて話しませんか?」

それが通じたのか。
部長ことグレモリー先輩に掛け合う木場。

「そう? じゃあ、まずは自己紹介をしましょうか。わた……」
「はじまして、3年の姫島 朱乃(ひめしま あけの)と申します。オカルト研究部の副部長をしていますわ。以後、お見知りおきを」
「あ、はい。ご丁寧にどうも。俺、兵藤一誠です。どうぞよろしく」

って、よろしくじゃねえ!?
つい丁寧に挨拶されたから、こっちも丁寧に返しちゃったけど、入部する気はないから!

「僕はあんまり自己紹介する必要がなさそうだけど、一応ね。木場 祐斗(きば ゆうと)、君と同じく2年だ」
「ああ、うん。知ってる」
「だよねー」

野郎の自己紹介なんてどうでもいい一番気になるのは……

「私がオカルト研究部の部長で、リアス・グレモリー。朱乃と同じく3年よ」

グレモリー先輩じゃないんだよ!
俺は気になるのは、さっき廊下で出迎え(?)てくれた可愛い女の子!

「搭城 小猫(とうじょう こねこ)」
「俺、兵藤一誠。よろしく!」
「……どうも」

小猫ちゃんか~可愛い名前だなー。
アレ? 前にどこかで見たことあるような……

「改めて、私達はイッセーを歓迎するわ。悪魔としてね!」

だから入部する気は……ん?
ちょっと待った。今、グレモリー先輩なんて言った?

「すいません。入部はちょっと……それと今最後に何か変なこと言いませんでした?」
「リアス。いきなり悪魔といってもわからないわよ。まずはそこから説明しないと……」

姫島先輩からフォローが入った。
でも、悪魔の部分関してはスルーか……
そういう冗談は日常茶飯事なのかな?
あんまり普段のグレモリー先輩からは想像できないな。

「そうだったわね。じゃあ、単刀直入に言うわ。この部屋に居るのは全員悪魔なの」
「は? 何言ってるんですか? 全員って、少なくとも俺は人間ですよ?」

いきなり私は悪魔です。貴方も悪魔です。
なんて言われても「はい。そうですか」と信じられるはずがない。

「木場。これは北欧流のジョークか? ここは笑うところだったりするのか?」
「いや、冗談でもなんでもないよ」
「どうやら信じてなさそうね」
「そりゃそうですよ。いきなりそんな突拍子もない事言われても信じられませんよ。せめて、確たる証拠を見せてもらわないと。悪魔だって言うなら、蝙蝠みたいな羽とか先端が三角形に尖った尻尾とか触覚とか見せてもらわないと」
「触覚や尖った尻尾はないけど、翼ならほら」

俺を除く全員が背中から蝙蝠のような翼を生やした。
目の前の光景が信じられず、眼精疲労ではないかと目と目の間を揉み、夢はないかと頬を引っ張り、本物かどうか確かめるために小猫ちゃんの羽に触ったら、少し頬を赤くした小猫ちゃんからグーパンチが飛んできて痛かった。
うん。夢でも偽物でもない。これは現実だ。

「マジか……」
「どうこれで信じてくれる?」
「はい。さっきの感触は本物っぽかったので……」
「……」

勝手に羽に触れたことを怒っているのか、小猫ちゃんが無言で俺を睨んでいる。
可愛い子に鋭い眼差しで睨まれるなんて……ご褒美ですが何か? 
むしろ、顔を踏んでくれても一向に構わ……っと、話がずれそうだ。
軌道修正っと。

更新日:2014-02-15 20:30:17

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook