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「花梨、帰ろー」
『へいほー』

教室は、ほとんど誰もいなくて。

残ってるのは
日直の相沢 透と

それから
・・・武田。

『・・・さーて
 どっかで買い食いでもしよっかなー』
「バレても知らないよ」
『えーよー別に』

大きな声で
いかにも突っ込みたくなるような会話をした。

武田の耳に、記憶に
少しでも、いさせてほしくて。

「あ、じゃーなー結衣。
 ・・・と、木下(笑)」
『あたしの扱いひどっ』

あたしがそう言うと
明るく笑う、相沢。

ちなみに結衣と相沢は
彼カノって関係。

『結衣はさ
 相沢と同じ高校行ったりすんの?』

廊下に出て、会話を再開。

「んー・・・わかんない。
 進路の話とか、あんましないからさ」
『そっか』

好きな人と同じ高校なんて
恋する女子なら当然のことであって

でも、あたしには
初めから、その選択肢が用意されてないんだ。

『あたしもそーゆーの
 したかったなー・・・』

なんてのは
ワガママだよね。

「花梨・・・」
『・・・まっ、あたしには
 彼氏いないから無理だけどさ!
 結衣さんリア充やなー』

もうなんか
自分の声すら頭に入ってこない。


無理矢理見せた笑顔は
あたしの本音を隠す自己防衛だってこと

あたしが一番、わかってる。

「別にリア充ってほどじゃないけどさー」

普通に会話をしてくれる
結衣の優しいところに

つい、甘えて泣きたくなった。

更新日:2013-01-09 16:48:57

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