• 3 / 50 ページ

第2話「しっかりしなくちゃ」

恋の始まりは
3年前。

小6の時。

図工の授業で、隣の席になった。


話してる時間が
ものすごく、楽しくて。

気付いたら大好きで。


最高に、仲良しだった。



だけど


中1、2でクラスが離れて
中3の今、同じになった。

むこうももう子供じゃなくて
あの時の仲は

完全に、崩れてた。


「かーりんっ」
『はーい?』
「なんか最近
 よくぼーっとしてるよね」

ケータイ小説の本を読みながら
昔のことを、考えながら

三宅 結衣と、話していた。

『えー?
 いつでも花梨ちゃんはしっかり者ですよ』
「・・・本、逆さだけど?」

呆れるように言われて、本の背表紙に目線を落とした。

『・・・あれ』
「それでよく読めたね?」
『やー・・・
 ははは』

さすがに内容は
全く頭に入ってない。

ぼーっとしてるのも
多分、事実。

「転校のこと
 やっぱ、花梨だけ残ったら?」
『・・・いいよ。
 あたし一人のせいで迷惑かけたくないし』
「ほんっと
 欲なしだよね」

仕方ないんだもん。

自分が一番、よく理解してるから。


10月の移動教室も
11月の文化祭も
1月の新年打ち上げも
2月のバレンタインも
3月の卒業式も

あたしは
いないんだから。

更新日:2013-01-08 15:21:40

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook