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小説

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~Side裕也~

まず一つ、言いたいこと。

俺はとんでもなく
バカだ。

“行かなくて
 いい”

なんて
困らせるにも程があるだろ。

「・・・ごめん
 忘れてい『ね、武田』」

ドキッ。

心臓が一瞬、飛び上がった。

「・・・はい」
『あれ、食べていい?』

無邪気に指を差す方向には
チョコバナナ。

「いーけど・・・」

普通このタイミングで
バナナ買うか?

『ありがと』
「・・・なんで、いきなり?」
『返事するため』
「返事?」
『せっかく一緒に過ごすお祭りなら
 楽しもうよ。・・・って、こと』

暗くてはっきりは見えないけど

木下が照れてるのは
なんとなく、分かる。

「・・・おまえ、いーの?」
『うん
 おじさん、チョコバナナ一本ください』

受け取ったチョコバナナを食べながら
俺にむかって、ぎこちなく笑った。

・・・緊張してんの、もろバレ。

「おじさん
 俺も一本」

バナナはあんま好きじゃないけど
なんか動作をしてないと、
気まずさが紛れなくて。

『どっか座ろっか』
「おー・・・」

少し裏にあった木のベンチは
少し、冷たく感じた。

「・・・転校ってさ
 どこ行くの?」

やっと思いついた話題を口にして
そう問いかける。

でもその答えは


























『・・・ドイツ』


























「・・・は?」


呼吸が止まったような感覚がした。

『知らなかったっけ?』
「・・・知らねーよ・・・
 初めて聞いたし」

嘘だろ?
もはや国すら違うのかよ。

『そっか』
「・・・マジかよ・・・」

近ければ何か違うのかって言われれば
特に何があるわけでもない。

でも
気持ちてきに、長距離なのはきつい。

なんだか本当に
俺と木下の思い出が全部、消えそうな気がして。

「木下・・・ドイツ語とか
 できんのかよ」
『習ってる。
 難しいけどさ』

頭が真っ白になって
見えてるものがただ流れるだけ。

俺は
この過酷な運命を

どう、受け止めればいい?

更新日:2013-01-15 11:34:12