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第7話「二人きり」

「花梨。
 あそこ見てみない?」

結衣が、嬉しそうな顔で振り向いた。

それは
アクセが売ってる屋台。

『うっわ
 可愛い・・・』
「結衣、なんか好きなのある?」
「え。いや
 大丈夫だって」
「いーから。
 彼氏は甘えるもんだろ」
「・・・どーも」

夢中で商品を見るあたしを置いて
そんな会話が聞こえた。

『うわうわうわ・・・』
「花梨?」
『甘っ
 空気甘っ!』

普段クールな結衣が
柄にもなく、照れてる。

「普通じゃね(笑)?」

そう笑う相沢は
本気で無自覚らしい。

「・・・あんたは
 度こしてる」
「うっそだー」
『・・・いいじゃん
 幸せそうで』

つい漏れた言葉で
空気がしんみりしたのがわかった。

『あっ・・・あたしは
 モテないしさー!』

危ない。

笑ってなきゃ。
そう決めたんだもん。

「花梨は・・・モテるよ。
 鈍感なだけで」
『ひどー』

鈍いとか、鋭いとか
考えたくもない。

むしろ鈍感のほうがいい。
自分を苦しめるような事実も、知らなくてすむんだから。

『にしても
 全部かわいーなー・・・』

こーゆーアクセを好きな人にもらったりとか
一度でいいから、体験したかった。

『・・・あ』

たくさん並ぶ商品の中で
一つ、気になるものを見つけた。

七色の花火の真ん中に
ハートが埋め込まれてる。

『ねー結衣!
 これかわ・・・』

ぱっと顔を上げると
視界に入ったのは、武田だけ。

「・・・あのさ」
『?』
「あいつら・・・
 逃げた」
『・・・は?!』

逃げた?
隠れた?

てことはまた・・・

『仕組まれたぁー・・・』

なんなの本当
あたしら、そんなに隙多かった?

てかまさか
始めから全部、これが目的?

『あたし・・・
 探しに行ってくる!』

早く見つけなきゃ。
武田の迷惑に、ならないように。

走り出したとき
途端に腕を握られて

「行かなくて
 いい」

そんな
説得力のある声が響いた。

『え・・・?』
「あ、いや・・・」

ぱっと手が離れた。

まるで
自分のしたことに、びっくりしたみたいに。

「・・・っと・・・
 面倒じゃん、いちいち」
『でも』

あたしと一緒にいたって
つまんないって思われて終わるだけじゃん。

「むこうも
 二人でいたいだろーし」
『・・・あ、そっか。
 そうだよね』

気のきく武田に感心しながら
あるワードに、ドキドキしていた。

むこう“も”って
どういうこと?

『・・・武田は
 あたしとじゃつまんないでしょ?』

・・・いやいや。
あたし何聞いてるの。

そんなこと聞いたって
正直につまらないですって言う人いないでしょ。

「・・・分かれよ。
 一緒にまわろうって誘ってんの」

ねえ、武田。
気付いてないでしょ。

キミの言葉が
表情が
眼差しが

あたしの鼓動を
加速させるの。

更新日:2013-01-14 17:21:41