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友達?


それから何週間かつまらない日々を乗り越えた。
何も変わらない平凡な毎日。
ただ、隣にはいつも美有ががいた。
昼休みには一緒に弁当を食べて
体育の授業にはいつもペアになった。


あたしが過去に不登校児だったことを
気にかけている担任も
美有と一緒にいると
安心したように微笑んだ。

『森川と中原は仲がいいんだなぁ!』

自分でも分かっていた。
これが本来のあたし。
中学の頃だって普通の女子だった。
友達に囲まれて
たくさん笑って
そんな毎日が当たり前だった。

あたしは、人が嫌いなわけじゃない。
関わって失うのが怖いだけ。

でも美有は
『もう手遅れだよ』と笑った。
あたしと美有には
いつしか友達という関係が
どうしても似合ってしまっていた。


「ねー涼香!」

美有がいつものように
あたしの席へ駆け寄ってくる。

「何?」

「涼香は好きな人いる?!」

「・・・は?」

「だからぁー好きな人いる??」

「別に。作らないし。」

「なんだぁ
 彼氏とかいないのかぁー」

「彼氏はいる。」

「へー彼氏はいるのかぁー
 ってはあぁぁぁあ?!!」


美有のナイスリアクションに
思わず吹き出しそうになるけど
・・・何とか堪えた。

「涼香!!」

「何よ」

「好きな人いないのに
 彼氏はいるってどういうこと?!!」

「いや、別に深い意味はないけど。」


口ではそう言うけど
本当は、とっくに好き。
だけどそれを美有に話したところで
どうにかなるわけではない。

「で!誰よ彼氏って!!」

「あー・・・」

あれだよ、と廊下の方を指差す。

「え、嘘・・・あの圭祐っていう人!?」

「うん。」

「何それ初耳だよぉー!!」

そりゃそうだ。
まだ美有には教えてないんだから。

「てか全然知らなかったよー
 圭祐くんいつも女子に囲まれてんじゃん。」

「まぁね。」

「あたし圭祐くんが涼香といるの見たことないよ?!
 何考えてんのあの人!!」

「・・・圭祐は悪くないの。」

「え?」

「あたしが、好きじゃないって言ったから。
 でも、それでもいいから付き合ってって
 ・・・・そんな関係。」

元々ただの幼馴染み。
告白されたのはたしか中学3年の秋だから
付き合い始めてちょうど1年くらい経つ。

美有の言うとおり
恋人らしいことは何もしていないけど
繋がっているってことがただ嬉しくて
でも失う時が怖いから
ちゃんと伝えられないまま隠してる。

あたしはただの臆病で

・・・最低だ。

更新日:2012-12-23 00:05:19

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