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初めて恋をした日 9

■ U-Know See

少し、眠ってから、お昼ご飯を食べて。
当たり前に服を着てたって、結局。
見つめ合えば、抱き合えば、また。
お互いの温度を、感じたくなる。

戻れないことは、分かっていて。
それでもただ、君を見つめていた頃に、いつか戻るのだろうかという気持ちで、揺れる。
またベッドで、君を貪って。
今度は君が俺を、一生懸命、口で愛撫して。
同じことは出来なくても、そうすることが当たり前みたいに。
君はその唇で俺を、愛してくれる。

こんなことばかり、していたら。
ダメになる。わかっているのに。
今夜、家に帰ったら、またしばらくはこんなふうに、ゆっくり会うことは出来ない。
君が毎日家にくるわけには、いかないし。
俺がここへくるわけにもいかない。勉強も、しないと。
無駄なせめぎあい。わかってたって、俺は。
君と一緒にいたい。君さえいれば、それだけで。

出さなくても、こすりあうだけで。
体と体で、気持ちよくなる。
少し笑って、体を離して。
ふと寂しくなって、見つめ合って。その繰り返し。
まどろみながら、体のどこかに、触れていて。
触れているのにそれでも、君の指を探す。

明日から、バイトなのに。
ベッドで一日ごろごろしてるなんて、自分でも不思議な気分。
女の子と付き合っているときだって、ここまでベッドにいたことは、ない。
それでも、離れがたくて。
「夕飯・・・作ります」
「・・・手伝うよ」
ふたりでベッドを、出る。

ご飯を作っている間も、君にまとわりついて。
君は笑いながらも、ちゃんとお手伝いしてくださいよって、俺をたしなめる。
ごめん。言いながら、キスして。
ご飯、食べましょ。右目を細める、君に。
俺はすっかり、やられてる。

あんまり遅く帰ると、明日に響くし。
ご飯を食べて片付けて、少しして、帰ろうと、思って。
「もう・・・そろそろ」
言い出す俺に、君は目を潤ませて。

いやだ。・・・帰らないで。抱きついて、押し倒して。
何度も、キスしてくる。
そっと抱きしめて、起き上がりながら。
髪を撫でる。このまま、会えないわけじゃ、ないだろ?
だから・・・ね。君は、俺を見上げて首を横に、振る。
ホント、我儘だ。かわいい我儘。
俺が困るの、分かってるくせに。

大丈夫だよ。おでこに、キス。
電話だって、するし、メールだって。言う、俺に。
・・・ホントに? ホントだよ。
俺だって、出来ることならずっと一緒に、いたいんだ。

ようやくなだめて、体を離して。
じゃあ、また。外まで送ろうとする、君を。
ここで。周りから変に思われるのも、なんだから。

こんなに離れがたく。
こんなに、寂しいなんて。

こんなに、君が、好きで。
こんなに・・・苦しい、なんて。

更新日:2013-03-15 07:59:32

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