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二人の兄
仕事で疲れ果てて寮に戻ったミノは、ふと奥の部屋の明かりが点いていることに気付いた。
オニュは、今日は仕事で帰らない。
キボムは所用で帰省中。
ジョンヒョンは自分と同じ、隣の部屋。
ということは、テミンがまだ起きているということだ。
以前は仕事がなければ日付が変わる前に寝ていたというのに、最近はすっかり夜更かしを覚えてしまったらしい。
早く寝るよう声をかけようとミノが扉をノックすると、中からテミンが顔を出した。
「お帰り。」
何でもないようにそう言うテミンに、ミノは苦笑する。
「いつまで起きてる気だよ。」
「もうそんな時間?」
テミンは知らなかったと言うように不思議そうな声を出した。
「…オニュヒョン待ってたのに、帰ってこないってメールきた」
ふて腐れたようにミノに愚痴を言う。
「何か用でもあったの?」
「別に、何もないよ。もう少し早く連絡くれれば早く寝てたのに。」
「忙しいのはいつものことだし、それに今日は最初から帰らないって言ってただろ。」
「僕、聞いてないよ。」
「お前が聞き逃しただけだよ。とにかく早く寝ろよ。お休み。」
そういえば、オニュが今週の予定を話していた時にテミンはいなかったかもしれない。
あの日は珍しく自分から学校に行くと言い出して、テミンは朝早く慌てた様子で寮を出た。
オニュが起きてきたのはその後だ。
思い出した時は既に扉を閉めた後で、ミノは仕方なくジョンヒョンと使っている自分の部屋へと入った。
恐らく、テミンにとって、オニュは誰よりも尊敬している兄のような存在。
いくらテミンが背伸びをしたところで、オニュには決して敵わない。
穏やかで呑気に見えるが、本来は聡明で、テミンには一番甘いようで誰よりも厳しいような気もする。
まるでそれが当然のことのように、テミンはずっとオニュの背中を追って成長してきた。
でも、ある日気が付いたのかもしれない。
すぐ後ろを付いて歩いているはずの長男の背中だけが、見えないほど遠くにあることに。
人は、手に入らないものほど手に入れたくなるものだ。
その日から、テミンはそれまで以上にオニュを追うようになった。
きっといくら追っても、オニュにとってテミンは可愛い末っ子でしかない。
それ以上でも、それ以下でも。
テミンは追うことに必死すぎて、少しも気付いていないらしい。
自分がオニュを追うのと同じように、もしかするとそれ以上に、自分が追われているということに。
テミンの心を自分のものにしたいとまでは思わない。
ただ、笑っていてくれればいい。
幸せでいてくれれば、思うことはいつもそれだけだ。
また夜遊びでもしているのか、見当たらないジョンヒョンの空のベッドに背を向け、ミノは静かに眠りについた。
オニュは、今日は仕事で帰らない。
キボムは所用で帰省中。
ジョンヒョンは自分と同じ、隣の部屋。
ということは、テミンがまだ起きているということだ。
以前は仕事がなければ日付が変わる前に寝ていたというのに、最近はすっかり夜更かしを覚えてしまったらしい。
早く寝るよう声をかけようとミノが扉をノックすると、中からテミンが顔を出した。
「お帰り。」
何でもないようにそう言うテミンに、ミノは苦笑する。
「いつまで起きてる気だよ。」
「もうそんな時間?」
テミンは知らなかったと言うように不思議そうな声を出した。
「…オニュヒョン待ってたのに、帰ってこないってメールきた」
ふて腐れたようにミノに愚痴を言う。
「何か用でもあったの?」
「別に、何もないよ。もう少し早く連絡くれれば早く寝てたのに。」
「忙しいのはいつものことだし、それに今日は最初から帰らないって言ってただろ。」
「僕、聞いてないよ。」
「お前が聞き逃しただけだよ。とにかく早く寝ろよ。お休み。」
そういえば、オニュが今週の予定を話していた時にテミンはいなかったかもしれない。
あの日は珍しく自分から学校に行くと言い出して、テミンは朝早く慌てた様子で寮を出た。
オニュが起きてきたのはその後だ。
思い出した時は既に扉を閉めた後で、ミノは仕方なくジョンヒョンと使っている自分の部屋へと入った。
恐らく、テミンにとって、オニュは誰よりも尊敬している兄のような存在。
いくらテミンが背伸びをしたところで、オニュには決して敵わない。
穏やかで呑気に見えるが、本来は聡明で、テミンには一番甘いようで誰よりも厳しいような気もする。
まるでそれが当然のことのように、テミンはずっとオニュの背中を追って成長してきた。
でも、ある日気が付いたのかもしれない。
すぐ後ろを付いて歩いているはずの長男の背中だけが、見えないほど遠くにあることに。
人は、手に入らないものほど手に入れたくなるものだ。
その日から、テミンはそれまで以上にオニュを追うようになった。
きっといくら追っても、オニュにとってテミンは可愛い末っ子でしかない。
それ以上でも、それ以下でも。
テミンは追うことに必死すぎて、少しも気付いていないらしい。
自分がオニュを追うのと同じように、もしかするとそれ以上に、自分が追われているということに。
テミンの心を自分のものにしたいとまでは思わない。
ただ、笑っていてくれればいい。
幸せでいてくれれば、思うことはいつもそれだけだ。
また夜遊びでもしているのか、見当たらないジョンヒョンの空のベッドに背を向け、ミノは静かに眠りについた。
更新日:2013-01-17 14:35:54