官能小説

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危険な潜入捜査

〈これで先ずは問題ないが、
あとは君の”演技力”に賭けるしかないな〉
〈オンナはみんな女優だから心配ありませんよ〉

 霧島の嘲笑には慣れた。
 この男は自分を嫌っている、最初から陽菜は感じていた。
 龍崎警視正はこの”任務”が成功すれば警察組織も風通しが良くなるなんて言ってるが、それと父の死の真相との何の関係があるのか‥‥
 いま思えば龍崎警視正と霧島にまんまと騙されただけだ。
 調子の良いことばかり口にする男の口車に乗せられ躍らされる人生。

〈今日を最後に君は警察官でもなければ、
警察とも一切関係のない人間に生まれ変わる〉
〈なんか不安です‥‥巧くやれるでしょうか?〉
〈急に怖じけづいたか。いまなら辞められるぞ。所轄どころか運転免許試験場逆戻りだがな〉

 嫌らしい笑みを浮かべた霧島を露骨に無視する。
 つまらなさそうな霧島。
 龍崎警視正は一切笑わない。
 これから櫻井陽菜という女はいなくなるんだ。
 それなのに、二人から非情な仕打ちを受ける。
 地下の黴臭い部屋を出る時、二度とここ戻って来ることはない、そんな不安がよぎった。

 権藤ホールディングス本社ーー六本木のミッドタウンタワーでは
買収を繰り返し合併に次ぐ合併により企業を拡大させ、
従業員50000人のトップに君臨している男が待ち構えている。
 権藤の懐に入り込めたとしても勝算はかなり低いし、
それをきっかけに警察が逮捕に動くこともない。
 龍崎警視正の意図は恐らく別にあるーー権藤の逮捕は形式的なものだ。
 上司になる男のことが気になって調べた。
 龍崎警視正が自分のことを調べ尽くしたように、調べ上げるのは当然だ。
 そういっても公安部の情報は機密扱いでデータベースには何も残されていなかった。
 唯一、それらしいのは10年前の新聞記事。
 小さな囲み記事でよほど注意深く見ないと気付かず、誰の記憶からも忘れ去られる内容だった。

更新日:2019-10-23 22:34:05

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