官能小説

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凶暴な独裁者

「さぁて、お前をどう料理してやろうか?」

 嬉々とした表情で口角を吊り上げながら権藤は告げた。
 ここはとある倉庫の地下室だ。
 壁や天井に防音材を詰め込み、悲鳴や絶叫が外に漏れることはない。
 男の顔は殴られて腫れ上がり元の色男ぶりは見る影もない。
 これから始まる惨劇を思えばこの程度で痛いとは言えないはずだ。

「会長。ここは自分が‥‥」
 大男が進み出ようとするのを制した。
「お前は黙って見ていろ。私はこの色男と話があるんだ」

 権藤は自ら手を汚さない。
 社会的地位を得た今となっては尚更だ。
 最近は拷問や人殺しは部下に任せて高見の見物を決め込んでいる。

「‥‥まさか、お前が“犬”だったとはな。
驚いたよ。よくも私を欺き通せたものだよ。感心した、ホントだ」

 両手を縛られ、椅子に座らされた男ーー忠実な飼い犬の化けの皮を剥いだら、警察のSだった。
 それも忌々しい龍崎一成の手先だ。
 正体を看破された男が睨み付けるが意に介さない。

「ところで香奈を愛しているのか?」

 バカらしい質問だ。この男は警察官だ。
 龍崎の飼い犬が香奈を本気で愛する筈がないのは承知の上だ。
 香奈を愛しているのはただ一人だ。
 男は喋らない。モゴモゴやっているのを見てそこで気付いた。
 口に貼られた粘着テープを剥がす。

「お前は終わりだ、権藤。証拠は固まっ‥‥」
「そんなことはどうでもいい。お前は香奈を愛しているのか?
それとも利用しただけなのか?」

 権藤の質問に男が鼻で嗤う。嘲り笑いだ。権藤の表情が歪んだ。

「愛してるかだと? そんなわけないだろ」
 男がふてぶてしい口調で吐き出す。
「あの女、バカだよなぁ。ちょっと甘い言葉で囁いたらコロッと騙されて本気になりやがった。
 挙げ句は一緒に逃げようだなんて‥‥昼ドラの見すぎなんだよ!」

更新日:2021-08-31 23:21:56

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