• 33 / 520 ページ

初めての船出と寂しさと。







昨日の宴はいつも以上に盛り上がり、
ほとんどのクルーたちは二日酔いで
頭を抱えていました。





少し遅めの朝食後、出港準備を整えています。





ログポースのログは昨日たまっていたため、
今日は次の島に向かって進む予定です。





「やろうどもぉー。船出だぁぁぁ。」





「おおおおおおおおおおおっ!!」





白ひげの言葉でクルーたちの指揮も上がります。





まぁかはモビーの白いくじらを模した
船首の上で、わくわくしながら
船出を今か今かと待ちわびていました。





「そんなとこにいたら海に落ちるぞ?」





落ち着いた様子でビスタは声をかけました。
英国紳士風の装いに整った髭が特徴です。





その後ろには一緒にいたマルコが立っています。





「もびぃ。うれしーっていってりゅ。
 まぁかもあえちゃのうれしーっていったにょ」

※(モビー。嬉しいって言ってる。
  まぁかも会えたの嬉しいって言ったの)





ビスタは「ふむ・・・」と考えていて
マルコは片眉を器用に上げて首をかしげました。





「モビーと?どういうことだい?」





「もびぃがにぇ。よろしきゅって、いったにょ
 だかりゃまぁかもごあいしゃつしちゃにょ。」

※(モビーがね。よろしくって、言ったの。
  だからまぁかもご挨拶したの。)





にこにこしながら嬉しそうに話すまぁかに
マルコとビスタは顔を見合わせて首を捻りました。





とにかくここは危ないからと、まぁかを
抱き上げて、船出してすぐの慌しい甲板に
座っていた白ひげのところへ向かいました。





「ぱぱぁー。」





「グララララ。まぁかは初めての船出だぁ。
 楽しめよ」





「ひゃいっ。うみおっっっきいねぇ」

※(はいっ。海大きいねぇ。)





「そうだなぁ。おめぇは知らねぇものだらけだぁ。
 いろんな経験をしろぉ。知らねぇことは
 悪いことじゃねぇ。 だがなぁ。
 知ろうとしねぇことは罪で恥だ。グラララララ」





さすがオヤジ。
いいこと言うなと、甲板にいたクルーたちは
改めて頑張ろうと意気込んだのでした。





まぁかも嬉しそうに頷いています。





マルコはふと思いだしました。





そして華のような笑顔で白ひげを
見上げ笑うまぁかを見た後
オヤジである白ひげを見ました。





(未来を見る力があるかはわからねぇが
 まぁかの言葉に気をつけてみてやれ)





そう言っていた白ひげの言葉を思い出して
マルコは気になっていたことを口にしました。





「オヤジ。気になったことがあってねい」





「グララララ。なんだぁマルコ。
 言ってみやがれ」





一度まぁかをちらりと見て、そしてマルコは
口を開きました。




更新日:2012-07-08 07:57:25

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook