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サバイバルプール

『さぁガンガン動いてガンガン泳いでガンガン食べるわよ!!』

ゆりが拡声器を使い、水着の上に服を羽織っている全員に向かって叫ぶ。
というわけでやってきた、温水プール。
高松と松下の知り合いに当たったところ、見事にヒットしたのだ。
もちろん、企画したのはゆりだ。
『さぁお前ら!脱げ!
脱いで健康的で魅惑的な素肌を曝け出しなさい!!』
なにを言ってるんだ、とメンバー全員が冷めた目でゆりを見詰める。
さすがにこの反応には、ゆりはうろたえる。
『わ、わかったわよ!
まずは私からよ!』
勢いに任せて上着を脱ぎ捨てた。
…恐ろしいほどに真っ赤な、パレオ付きビキニである。
しかしその水着も、ゆりが着るとバッチリ似合っていた。
「さて…アタシらも脱ぐか」
「え、え?まさかみんなビキニ…?」
「ぷぷ…入江子供っぽ〜」
「……………ふぅ」
「ん……っと」
「私も、脱ごうかしら…」
ひさ子達ガルデモの三人を筆頭にし、椎名と遊佐、チャーの恋人が上着を脱いだ。
みんなそれぞれ、良く似合っている。
「ふっふ〜ん。秀樹君、見たい〜?」
「いや別に」
日向とユイがなにか言い合っている。
音無はそれを見て苦笑した。
『こ〜らそこ!イチャコラしてないではよ脱げ!
まさみさんも、早く脱ぎなさいっ!』
「べ、別に私のタイミングでいいだろ!?」
突然ゆりに名指しで呼ばれて、岩沢が2〜3歩下がる。
しかし、そこにはひさ子がいた。
「もらった!」
「きゃあぁぁぁっ!?」
彼女の上着が剥ぎ取られ、水着姿が露になる。
綺麗で鮮やかな、蒼色の布の中で揺れ動く豊満な胸。白い素肌、くびれ、太もも……。
「へぇ〜、私はてっきり紅色とかにすると思ってたんだけど」
「な、何するんだよバカ!!」
岩沢はその場に座り込み、細い綺麗なその両手で豊満な胸を隠そうとする。
しかし、隠しきれていない。
「ほれおと…結弦、まさみの水着姿、どーよ?」
ひさ子はニヤニヤ笑いながら音無を見る。
当の岩沢は、涙目になりながら彼を見詰めている。
「あ、いや…えっと……き、綺麗だっ」
照れ笑い浮かべると小さな声で呟く。
周りからは冷やかしの歓声が上がり、岩沢は今にも泣きそうになっている。
結婚してそこそこ経っているが、未だ付き合い始めの恋人同士のようだった。

更新日:2012-10-03 01:26:53

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