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海底世界

“巡る巡る記憶の世界。そこで見るは、君の夢”


(……ん)

遊一が目を開くと、そこは海の底だった。

(ウソ! い、息が……って、あれ?)

確かに海の中だが、普通に歩くことができた。

「……普通にしゃべることはできるな」

遊一がぽつりと呟くと、思い出したかのようにあたりをきょろきょろと見渡す。

「そうだ、藍、桐谷、未来、皆どこへ!?」

遊一が誰かと手をつないでいるのを確認し、その手の持ち主を見ると、最愛の妻が横で気絶しているのを確認する。

「藍!」

遊一が藍の脈を確認し、正常に動いているのを確認しほっと一息つく。

「……ん」

藍がぱちりと目を開くと、周りが水であることを確認し、パニックを起こす。

「ゆ、遊一さん、息、息ができません!? ど、どうしましょう助けてください死にたくありません!」

「落ち着け、藍。確かに水の中ではあるけど、普通に喋れるし息もできるぞ」

遊一が藍を落ち着かせるように言うと、藍は少し落ち着き、すーはーと息をする。

「本当ですね。そうだ、桐谷と未来、美斗さんと遊速君はどうしたんでしょうか!?」

「ああ、どうやら俺たちとははぐれたらしい」

「どうして私と遊一さんだけが同じ場所にいるんでしょうか?」

「これはあくまで予想だが……俺たちが意識を失う前、どうしたか覚えているか?」

「えっと……そう言えば、思わず遊一さんの手をつなぎましたね」

「そう。だけど、桐谷と未来、美斗さんと遊速と全員で手をつなぐ前に俺達の意識は途切れた」

「となると、皆もこの世界のどこかにいると考えてもいいんでしょうか?」

「さぁな……まだわからないことばかりだ」

「ところで、ここってどんな空間何でしょうか?」

藍があたりを見回すと、まるで魚が空を飛ぶように泳いでおり、間違いなく水の中だということは分かる。
しかし、遊一と藍は普通に息ができており、別に泳いだりしなくても移動できるため、よくわからない空間であることはわかった。

「俺にもよくわからん。水は未来の専門だ。とにかく、桐谷と未来、美斗さんと遊速を探すぞ」

「はい」

遊一と藍はそういいながらその場を離れ、姿を見失ってしまった家族を探し始めた。

更新日:2012-03-18 00:35:40

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劇場版遊戯王FINE LOST MEMORY TOWER