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小説

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4.鳥篭の外へ

 その年の春は父王について国外に行っていたため16日間ほどリオンに会えなかった。

 これまでにもそういうことはあったが今回は特別長い。
 あの小さな弟はさぞ寂しがっているだろう。

 リオンは11歳になったというのにいつまでも小柄なままだ。
 もちろん多少は伸びたのだがその分俺の背がもっと伸びているので身長差は前より開いている。

 淡い色のふわふわの髪とすけるように白い肌がなんだか頼りなく、俺は小さな弟をどうしても放っておけない。

 リオンは陽のさす事の無い地下でずっと暮らしてきた。
 成長の遅れはそのせいのように思われる。

 俺も決して大柄なほうではないがあの年にはもっと背が高かった。
 せめて短時間でも陽に当ててやりたい。
 そう思うのに次期王位継承者である俺に、たったそれだけの力が無い。
 己のふがいなさが本当に恨めしい。

 
 クロスⅦのいない時間を見計らい、いつものようにリオンの元を訪れると今日は誰も迎えに来なかった。

 おかしい。

 帰城の日はあらかじめ伝えておいた。
 いつも子犬のように嬉しそうに駆けてくるリオンが俺の訪れを待っていないなんて。

 嫌な予感がしたとき、大部屋から続く鉄の扉が開き、髪を乱れさせ、白い神官服を紅く染めたリオンが現れた。

「……兄様!!」

 リオンははめこまれた皮製の目隠しから涙をあふれさせて俺に抱きついてきた。
 それからハッとしたようにあわてて離れた。

「申し訳ありません。兄様のお衣装が……」

「そんなことはどうでもいい!! 血まみれじゃないか!! 訓練で怪我でもしたのか!?」

「……いいえ。その……そうではなく……」

 リオンは言いづらそうにうつむいた。

更新日:2012-02-13 15:50:15

滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)